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火力発電所の上手な使い方、指南


火力発電所の上手な使い方、指南

この記事の要点は…

サイバー空間に、発電プラントを再現!

将来のトラブルを予測して、最適なメンテナンスタイミングを知る

CPSは、サイバーとフィジカルの共同作業だ

どんなモノでも上手に使えば長持ちする。身の回りにある道具や電気製品など、愛着のある品々を、大切に使い続けている人も多いだろう。これは、火力発電所にも同じことが言える。
東芝は、サイバー・フィジカル・システム(CPS)テクノロジーからのアプローチによって、火力発電所の発電効率を向上させる使い方や、最大の稼働率を実現する適切なメンテナンスタイミングを提案するビジネス展開をにらんでいる。そのための実証実験を、2019年11月にメキシコの火力発電所を舞台に開始した。

他社製プラントもメンドウ見ます

火力発電プラント(設備)は、運転開始から30年を超えて使い続けられることも珍しくない。工業製品としては、非常に耐用年数の長いモノに分類される。
どんな製品でも運転開始以降、少しずつ性能が低下する。もちろん、この低下率は設計時に想定されているが、一般論として、中にはその想定された理論値に達していない場合もある。

設計時に想定された効率と実際の効率の差が、改善の可能性となる

設計時に想定された効率と実際の効率の差が、改善の可能性となる

東芝は、運転開始からある程度の期間を経過した火力発電所の効率向上を新しいビジネスとして考えている。そのための実証実験を、三井物産株式会社と共同でメキシコの「サルティージョ火力発電所」を舞台に2019年11月から行っている。「サルティージョ火力発電所」は運用・メンテナンスがしっかり行われており、大きな改善効果を出すには難しい環境だが、その難しい環境で技術面での実現性を検証することによって、将来どの程度のプラントでビジネスとしての実現性があるかの目途もつけたいと考えている。

サルティージョ火力発電所全景

サルティージョ火力発電所は、三井物産株式会社が40%を出資するエムティーファルコンホールディングス社が所有する発電所である

効率低下には、様々な原因がある。これを改善するためには、発電プラントごとに診断・解析し、改善への施策を打っていく必要がある。

「将来ビジネスのターゲットとして考えているのは、実証実験を行うサルティージョ火力発電所とは異なり、効率が設計時の理論値に達していないプラントです。効率が理論値に達していないということは、逆に考えれば効率向上の余地があるとも言え、我々のビジネスとしてはそういった状況にあるプラントが魅力的なターゲットになります。環境負荷低減のためにも、火力発電の効率向上は、やりがいがあります」
そう語るのは、この実証実験を主管する東芝エネルギーシステムズ株式会社 磯 景之氏だ。

東芝エネルギーシステムズ株式会社 DXビジネスデザインプロジェクトチーム サブプロジェクトマネージャー 磯 景之氏

東芝エネルギーシステムズ株式会社 DXビジネスデザインプロジェクトチーム サブプロジェクトマネージャー 磯 景之氏
(東芝デジタル&コンサルティング株式会社 発電デジタルトランスフォーメーション推進部 部長 兼務)

改善提案を行うための、発電プラントの診断・解析には、東芝が得意とする二つの分野の技術・知見を用いる。
一つは、サイバー空間に発電プラントをシミュレーション再現するデジタルツイン技術。
実際の火力発電プラントの情報を基に、文字通りツイン(双子)のプラントをサイバー空間に再現して診断・解析を行う。こうした、原因個所の特定には、東芝が得意とするもう一つの得意分野である火力発電プラントに関する知見が重要な要素となる。

「具体的には、デジタルツインの火力発電プラントを、実運転のデータと同じ条件でシミュレーション運転した結果を機器ごとに比較して、効率低下の原因となっている問題個所の特定をしていきます」(バシェール氏)

アルーフバ バシェール氏は、火力発電プラント診断のスペシャリストとして、東芝グループと三井物産の合弁企業である、東芝デジタル&コンサルティング株式会社から、今回の実証実験に参画している。

東芝デジタル&コンサルティング株式会社 アルーフバ バシェール氏

東芝デジタル&コンサルティング株式会社 アルーフバ バシェール氏

「東芝には、世界中に多くの火力発電プラントを納入してきた実績と、長年の運用による蓄積データがあります」(バシェール氏)
この二つの得意分野の技術と知見を駆使して、デジタルツイン上の発電プラントから、ROI(Return On Investment:費用対効果)の最も高い熱効率の改善施策を探り出し提案する。

プラントのデータを基に再現されたデジタルツインから、様々な情報を読み取ることができる

プラントのデータを基に再現されたデジタルツインから、様々な情報を読み取ることができる

デジタル技術と、火力発電プラントへの豊富な知見。サイバーとフィジカルを融合させた、CPSテクノロジー企業を標榜する新時代の東芝ならではの取り組みと言えるだろう。

「デジタルツインの作成に必要な情報が得られるのであれば、他社製のプラントでも有効な施策の提案が可能です」(バシェール氏)

実際、実証実験が行われているサルティージョ火力発電所には、東芝製の設備や機器は使われていない。

「必要なデータが得られるのであれば、プラントの設置場所も問いません。現地に赴くことが難しい地域のエネルギー問題にも貢献できる可能性があると、期待しています」(磯氏)

東芝製以外のプラントでも、デジタルツインとして再現し、日本からいつでも分析できる

東芝製以外のプラントでも、デジタルツインとして再現し、日本からいつでも分析できる

デジタルツインとしてサイバー空間に再現された火力発電プラントから得られるのは、熱効率向上のヒントだけではない。
発電所の稼働率を上げるためには、プラントを停止して行われる定期的なメンテナンスは欠かせない。稼働率を最大にするためには、適切なタイミングでのメンテナンスが必要だが、この適切なタイミングの見極めにも、デジタルツインによるプラントの解析が有効だ。

いつ故障するかわかれば、適正なタイミングでのメンテナンスが可能

いつ故障するかわかれば、適正なタイミングでのメンテナンスが可能

「デジタルツインのシミュレーションにより、いつ頃、どんな異常が発生するか予測することができます」(磯氏)

デジタルツインを使って将来の状態を予測し、適切なメンテナンスタイミングを知る

デジタルツインを使って将来の状態を予測し、適切なメンテナンスタイミングを知る

いつ故障するかわかれば、最適なタイミングでメンテナンスを行うことができる。そうなれば、最大の稼働率を得ることができるだろう。また、故障による修繕コストの抑制も期待できる。

「再生可能エネルギーが増えてくる流れの中でも、電力の需給バランスをとる重要な役目を担う火力発電をできるだけ効率よく行うために、デジタル技術を利用するのです」(磯氏)

> デジタルとフィジカルをつなぐモノ

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