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高品質半導体の製造を支える、見えない相手との戦い


高品質半導体の製造を支える、見えない相手との戦い

この記事の要点は…

クリーンルームの保守・保全は見えない相手との戦い

故障原因の徹底究明で、修理費を大幅削減!

無ければ作る!で乗り越えてきたものとは

東芝グループの半導体製造を担う株式会社ジャパンセミコンダクター大分事業所では、主に自動車などに使われる半導体を製造しており、特に高い品質が求められている。

長年にわたって高品質の半導体を製造してきた同社が、どのようにして高い品質を維持してきたのか。半導体製造現場を支える保守・保全活動に従事する担当者たちの活躍に迫ってみよう。

高品質を維持するために大切なこと

前編の半導体ができるまでの流れでもご紹介した通り、目に見えないほど小さなダストが品質の低下に直結するため、半導体は空気が管理されたクリーンルームの中で製造されている。クリーンルームの清浄度は、気圧差や防塵服の着用など、外部からのダスト侵入を防ぐ様々な取り組みによって保たれているが、ときにクリーンルーム内部でダストが発生することもあるという。

「半導体の製造過程で、ダストの原因となるものが生まれます。こうしたダストも品質に影響しますので、専用の器具を使った定期的な清掃が必要なのです」

そう話すのは、ジャパンセミコンダクター大分事業所製造部の岡崎裕一氏だ。

図1 株式会社ジャパンセミコンダクター 大分事業所 製造部 製造長 岡崎裕一氏

【図1 株式会社ジャパンセミコンダクター 大分事業所 製造部 製造長 岡崎裕一氏】

半導体は、ウエハー上に成膜を行って、それをエッチングなどで削り取るような作業などが繰り返されて作られる。この際取り除かれる膜などが新たなダストの原因となるのだ。

「例えば、チャンバーと呼ばれる反応容器の中には、どうしても膜のくずが残ってしまいます。これも不良品の原因となりますので、定期的なチャンバー内の清掃が欠かせないのです」(岡崎氏)

数年前までチャンバーの清掃は、熟練の作業員による手作業で行われていたという。メチルアルコールを含ませた布で拭いてから、残ったダストを高圧エアガンで吹き、バキュームで吸い取るという作業だ。

「チャンバー内のダストは肉眼では見えないため、経験と勘だけが頼りでした」(岡崎氏)

この手作業による清掃は、一台あたり120分もかかっていたという。また、作業員の習熟度によって洗浄結果にばらつきが生じるという問題も抱えていた。こうした課題を解決するために、チャンバー内の清掃を自動化するプランが持ち上がる。

「日々試行錯誤を繰り返す中で、チャンバー内の気圧を外より低くすると、効率良くダストを吸い取れることがわかりました」(岡崎氏)

「さらに、社内の装置技術部門に協力を依頼して、チャンバー内の気流シミュレーションを行うことで、エアガンのノズルの位置や角度の微調整を重ねました」(岡崎氏)

こうして、チャンバー内の自動清掃を行う器具、「オートシーケンシャルブロー」が誕生した。これによって、洗浄時間が120分から45分へと一気に短縮され、また、作業者は器具のセットとリセットを行うだけなので、作業者ごとの洗浄度のばらつき問題も解決されたのだ。

【図2 気流シミュレーションを行ってチャンバー内の空気の流れを可視化。目に見えない敵との戦いを制した】

【図2 気流シミュレーションを行ってチャンバー内の空気の流れを可視化。目に見えない敵との戦いを制した】

「これに留まらず、エアガンのノズル形状を円形から扇形に変更し広角的に洗浄することで、洗浄時間をさらに30分にまで短縮できました」(岡崎氏)

実に、手作業による洗浄の4分の1にまで所要時間が短縮されたのだが、進化はこれだけではない。現在は新たに一度ブローした後、ダストの多かったエリアを次から集中的にブローすることにより、全体のダストの終息を早める自己診断・自動判定機能を追加しているという。

【図3 左:オートシーケンシャルブロー本体/右:チャンバーにセットされた状態】

【図3 左:オートシーケンシャルブロー本体/右:チャンバーにセットされた状態】

> 攻めの保守・保全活動で目指すもの

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