広く・早く・手軽にAIを導入できる秘訣とは? ~映像解析をもっと身近に!

2023/09/13 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 多様な困りごとから生まれた、東芝の「映像解析AI」の特長とは?
  • リアルな「現場」を知る東芝だからできる、ソリューションがある!
  • 社会インフラ・ビジネス・暮らしを守る、サポーターになる!
広く・早く・手軽にAIを導入できる秘訣とは? ~映像解析をもっと身近に!

私たちが毎日のように訪れる店舗、仕事をするビル、移動で使う交通機関まで、あらゆる場所に設置されている防犯カメラ。その映像データは、見守りだけでなく仕事の効率化などにも利用され、様々な困りごとの解決に役立てられ、私たちの生活を豊かにしている。しかし、その台数やデータが増えるほど、映像の確認と分析に時間がかかってしまう。そこで期待されているのがAIの活用だ。

大小を問わず多くの企業が映像解析AIを手がけるなか、東芝も「SATLYS (サトリス)映像解析AI」を展開している。50年以上にわたってAIを研究・開発した知見を持ち、顧客との対話を通じて、どうデータの力を最大限にいかすかを考える東芝。その東芝が手がける「SATLYS 映像解析AI」は、どのような強みを持つのか。技術開発と商品化それぞれのリーダーの話から、広く・早く・手軽にAIを導入できる秘訣に迫った。

お困りごとを真に解決できる「映像解析AI」の要件とは?

自動運転のクルマによる人物の検知、不良品のチェック、倉庫での集荷、医療での病変部位の検出――。これらは全て、映像解析AIによって大幅な省力化や精度向上が実現した分野だ。

「この10年ほどで、映像解析AIは大幅に進化し、ビジネスや日常生活に活用され始めています」と語るのは、「SATLYS 映像解析AI」の技術開発のリーダーを務める入本勇宇次氏だ。

「ディープラーニングによる第3次AIブームの中で、映像解析AIの需要が爆発的に増えました。特に近年、映像処理に特化した演算装置であるGPUを含めてコンピューターの性能が上がり、膨大な計算が可能になったことも大きなきっかけです。2019年頃から、『こういう課題を映像解析AIで解決できないか』といったご相談が増え始めました」(入本氏)

東芝デジタルソリューションズ株式会社 ソフトウェア&AIテクノロジーセンター エキスパート 入本 勇宇次氏

東芝デジタルソリューションズ株式会社 ソフトウェア&AIテクノロジーセンター エキスパート 入本 勇宇次氏

このブームにより、企業だけでなく大学などの研究機関も様々な映像解析AIを開発し、広く公開するようになった。AIで高精度な物体検出などを行えるようになり、それらを活用した新興企業も多く誕生している。しかし、入本氏は「物体検出など汎用的なAIだけでは、企業や自治体のお困りごとの解決にはつながらない。もう一段の深掘りが必要」と強調する。

たとえば、物体を検出するAIだけでなく、人の顔や行動を認識するAIなどを組み合わせたり、粗い映像でも検出精度を高める処理をしたり、AIの学習や推論に必要な設定値を調整できて初めて、本当の困りごとを解決できます。これが、ソリューションとして映像解析AIを提供することです」(入本氏)

そこで東芝が開発したのが、入本氏が技術開発に携わった「SATLYS 映像解析AI」である。SATLYS(サトリス)は、東芝の「ものづくり」の実績から得た知見をAIの設計にいかした、AI分析サービスだ。画像やセンサーのデータを解析し、システムの最適化・自律化を支援する。

ここで、「『SATLYS』では、多種多様な困りごとに応える形で、AIのラインナップを揃えてきました」と語るのは、「SATLYS 映像解析AI」の商品化のリーダーを務める芦川将之氏。「SATLYS 映像解析AI」を導入する時や、導入した後の保守・管理などに携わっている。

「当初、『SATLYS』ではお客様の要望に寄り添いながら、映像データを解析し、業務の最適化や自律化を支援するAIをオーダーメイドで開発、導入していました。その中で、多くのお客様が共通した課題を抱えており、その解決策となるAIを早く・手軽に導入できると大変喜ばれると分かりました。

そこで、お客様の声が多く、頻繫に活用されるAIについては、基本データを学習させたレディメイド(既製品)として10種類を準備しました。それが、今の『SATLYS 映像解析AI』です」(芦川氏)

東芝デジタルソリューションズ株式会社 デジタルエンジニアリングセンター  AI・自動化技術サービス部 サトリスAI技術開発担当 エキスパート 芦川 将之氏

東芝デジタルソリューションズ株式会社 デジタルエンジニアリングセンター
AI・自動化技術サービス部 サトリスAI技術開発担当 エキスパート 芦川 将之氏

広く・早く・手軽に対応できる「SATLYS 映像解析AI」

現在、「SATLYS 映像解析AI」が用意している学習済みAIの10種類は、①人物/物体検出・追跡、②骨格推定、③顔認識、④カメラ間追跡、⑤群衆密度推定、⑥行動認識、⑦不審行動検知、⑧人物/物体数カウント、⑨人物属性推定、⑩エリア内人数カウントだ。

「SATLYS 映像解析AI」の学習済みAI

「SATLYS 映像解析AI」の学習済みAI

「SATLYS 映像解析AI」の強みは、こうした学習済みAIの多さであり、広く・早く・手軽なAI導入を実現する。ある目的に特化した映像解析AIを提供する企業は多いが、東芝の場合は、お客様の困りごとに応じて複数のAIを組み合わせられる。ものづくりを中心に様々な事業を展開し、現場を知る東芝は、AIありきではなく、真の解決に迫る対話から、お客様に意味のある提案を得意としている。

また、カメラの機種に依存しない点も特長に挙げられる。一般的に、映像解析AIは「このカメラでデータを取ってください」と提案されることが多いが、「SATLYS 映像解析AI」ではお客様が使っているカメラをそのまま活用できる。

さらにもう1つの特長が、お客様のAIの利用の仕方。クラウド経由で利用してもいいし、お客様の現場のPCにAIをインストールしてもいい。

「クラウド経由ですと、『できるだけ早く使いたい、小規模で始めたい、メンテナンスは省きたい』などのご要望に応えられます。一方、『データ量が多くオンラインだと通信費がかかる、機密データはクラウドに上げたくない』という場合には、お客様の環境にAIを組み込めます。他にも、最初はクラウドでAIを試して、上手くいったら現場にAIを導入するといった考え方もあります。いずれにしろ、お客様の状況に合わせて選べるのは、大きなメリットだと考えます」(芦川氏)

「SATLYS 映像解析AI」の特長

「SATLYS 映像解析AI」の特長

社会・ビジネス・暮らしを守るサポーターに

様々な特長を持つ「SATLYS 映像解析AI」だが、その根底には東芝が持つ技術力がある。たとえばNIST※1が主催している顔認識技術のベンチマークテストで、2021年に「12年以上の経年変化がある顔画像」などの3部門で世界トップレベル、日本企業で1位を獲得した。その技術的な強みについて、商品化のリーダー芦川氏は次のように説明する。

※1 米国国立標準技術研究所

「ポイントは3つ。1つは学習するデータの多さです。国内外の公開データにとどまらず、東芝が事業を通じて集めた独自のデータも活用しています。ただしデータは単純に多ければよい訳ではなく、用途に合わせて絶妙に組み合わせたAIを作ることが重要。東芝にはその実績と知見があります。

2つ目は、AIの基になるアルゴリズムの開発力です。いいデータを集めても、それを読み込ませるアルゴリズムの精度が低ければ無意味です。東芝は、長い年月をかけて蓄積した知見や、公開の先端技術をフル活用して、多種多様で高精度なアルゴリズムを自社で開発しています。

3つ目は、データとアルゴリズムをどう組み合わせ、どのように動かすかを決める設定値の調整です。この調整はデータサイエンスの領域で、東芝には腕利きのデータサイエンティストが数多く在籍しています。これら3つのポイントを組み合わせることで、高い精度の映像解析を実現しています」(芦川氏)

東芝の映像解析AIの強み

東芝の映像解析AIの強み

さらに、「そうした強みがあるので、映像が粗かったり、色々な方向からから撮ったりと、いわゆるワイルドなデータにも強い」と、技術のリーダー入本氏が続く。そのため、長年使われている防犯カメラなどの映像データでも解析可能なのだ。

東芝には50年以上のAI研究開発の歴史があり、AIの特許数も世界3位、日本1位です※2。だからこそ、斬新な技術、解決策を生み、困りごとを解決できます。AIの領域は、コンピューターの性能向上やアルゴリズムの公開などによって、確かに参入障壁は下がりました。しかし、AIの使いこなしとなれば話は別です。AIを使いこなすには、リアルな現場の知識と実践が必要。東芝の強みは、それらに支えられています」(入本氏)

※2 世界知的所有機関の2019年の報告書

「SATLYS 映像解析AI」が目指すのは、社会インフラ・ビジネス・暮らしを守るサポーターだ。社会インフラであれば、電車や線路の状態確認、河川やダムの保全、ビジネスならオフィスセキュリティ、工場内の行動解析、物体検知による安全確保、暮らしなら忘れ物や危険物の検知、不審者検知による通報、迷子の探索など、様々な活用が見込まれている。

「SATLYS 映像解析AI」で目指すこと

「SATLYS 映像解析AI」で目指すこと

最後に、今後について芦川氏、入本氏はこのように展望を語った。

「今は10種類のAIですが、お客様のニーズに合わせてラインナップを増やしていきます。東芝の経営理念は『人と、地球の、明日のために。』 つまりは社会の役に立つことです。東芝の製品・サービスは、全てそのために存在しています。AIでもその一助を担うべく、それらの製品・サービスと組み合わせて価値を出していきたい。そして、AIあっての東芝、と言われたいですね」(芦川氏)

「AIを導入するお客様に対して、『SATLYS 映像解析AI』なら何が実現できるかを示すことが大切。お客様が求めるのは、技術ではなく実際のソリューションなので、お客様がイメージしやすいように実践例を増やす必要があります。そのためにも、丁寧な対話でお客様のニーズを聞き出して、課題解決に適した技術、価値を出すことを常に意識し、これからも技術開発を進めていきます」(入本氏)

AIの導入に必要だった高度な知識や準備からお客様を解放した「SATLYS 映像解析AI」は、映像データを使ったソリューションとして、顧客、社会の課題の解決に役立てられていくはずだ。社会・ビジネス・暮らしを守るサポーターとして進化していく。

関連サイト

※ 関連サイトには、(株)東芝以外の企業・団体が運営するウェブサイトへのリンクが含まれています。

SATLYS(サトリス)- 東芝のAI分析サービス・映像解析AI | 東芝アナリティクスAI SATLYS | 東芝デジタルソリューションズ

SATLYS(サトリス)- 東芝のAI分析サービス・映像解析AI | 東芝アナリティクスAI S

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