インバウンドサービスで活躍 ビーコン活用 実証実験をレポート

2017/02/08 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • ビーコン網を活用した、インバウンドサービス
  • ビーコンの特性を、効果的な販促につなげる
  • 将来は物流や医療現場での活用も視野に
インバウンドサービスで活躍 ビーコン活用 実証実験をレポート

軽井沢・プリンスショッピングプラザで、インバウンドサービス支援システムの実証実験が行なわれている。これは訪日前のプロモーションや電子決済、さらには看板やメニューを撮影した画像から英字翻訳表示する機能まで用意し、訪日外国人観光客をトータルにフォローするもの。(前編はこちら)

 

また、通りがかったショップの情報が配信されるなど、観光客のアクティビティを喚起する工夫も凝らされている。大きな特長の1つは、施設内に点在するビーコンを活用している点だろう。これにより、GPSにはないさまざまなメリットが享受できるのだ。

ビーコンの活用で生まれるメリット

ビーコンとは、Bluetooth規格を用いた信号発信機のこと。現在、軽井沢・プリンスショッピングプラザ内には約370個のビーコンが設置され、26万8410㎡という広大な敷地の大部分がカバーされている。

店頭のビーコン端末

店頭のビーコン端末

「敷地内には屋根がかかった部分も多く、GPSでは正確に位置を補足できないデメリットがあります。また、高低差の判別が苦手なのもGPSの難点。しかしビーコンでは、電波の強弱を元に、高低差まで含めた位置情報を測定できるため、対象ユーザーが1階にいるのか2階にいるのか、現在地を正確に捉えることが可能なのです」(東芝テック オートID・ソリューション事業推進部 商品企画部 伊藤健二氏)

東芝テック オートID・ソリューション事業推進部 商品企画部 伊藤健二氏

東芝テック オートID・ソリューション事業推進部 商品企画部 伊藤健二氏

実際、専用アプリをダウンロードして施設内を歩いてみると、マップ上に自分の現在地が正しく表示されるほか、前を通りがかったショップの詳細やクーポンが、リアルタイムでプッシュ配信されてくる

 

これは目当てのショップへのスムーズなアクセスを促すだけでなく、消費の喚起にも有効であるに違いない。

“回遊データ”を各店舗のマーケティングに活用し、施設全体を最適化

「また、そのユーザーが施設内をどのように巡回し、どの店にどのくらい滞在したのかなど、行動をつぶさに記録することも可能です。これは運営側にとって、貴重な情報資産となるでしょう。人気の店舗や回遊ルートを割り出すだけでなく、来場者があまり立ち寄らないエリアを特定して対策を打ったり、あるいは災害時の避難ルートの確立にも応用できるはず」(東芝テック サービス・ソリューション事業開発部 新規事業企画室 神字芳彦氏)

東芝テック サービス・ソリューション事業開発部 新規事業企画室 神字芳彦氏

東芝テック サービス・ソリューション事業開発部 新規事業企画室 神字芳彦氏

商業施設内における人の流れは、貴重なコンサルティング・データとなる。
さらにいえば、もともと東芝テックは、POSシステムに強みを持つ企業であるだけに、ゆくゆくはPOSデータと連動させ、個別の買い物記録と組み合わせての利用も考えられるだろう。
ユーザー単位で購買実績と紐付けた行動データが採取できれば、お客さまが本当に求めているもののヒントが詳細に得られ、サービス向上にも繋がるはずだ

 

ビーコンはGPSに比べて、信号の伝達エリアが狭いデメリットがあるが、逆にいえば、限られたエリア内であれば、大きな強みを発揮する。
同社ではこの特性を活かし、ビーコン網を用いたシステムを物流や医療の現場に導入するプランも計画中だという。

口コミでさらなる訪日客を生む、インバウンド支援の”サイクル”

今回のシステムのポイントは、モバイルアプリを軸にユーザーと事業者を結び、訪日前プロモーションから帰国後のフォローまで、トータルでカバーするモデルを構築している点にある。

 

まず、通信アプリ『WeChat』を通して、訪日前から情報やアプリを配信することで、現地への集客を促進。
来日中は施設内回遊や決済、翻訳サービス、免税サービスなどをワンストップで提供。
そして帰国後は、購買履歴からおすすめ情報の配信につなげることで、ECサイトからのリピート購入へとナビゲートする。(現在検討中)

本サービスによる訪日客増加のサイクル

本サービスによる訪日客増加のサイクル。ユーザーが日本での体験を口コミに書くことで、次なる訪日客を生んでいく。

こうした一連のフローの中で、高い満足度を得たユーザーはクチコミで拡散し、さらに多くの訪日客を生み出すだろう。
つまり、この”サイクル” を着実にサイズアップしていくことで、インバウンド市場をいっそう拡大していこうというのが、東芝が見据えるビジョンである。

 

2020年を迎える頃、そのサイクルがどこまで大きく育っているのか、今から楽しみでならない。

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