現場のパワーを倍増させて、ともに生み出す ~理念ストーリー We are Toshiba~
2020/09/16 Toshiba Clip編集部
この記事の要点は...
- 困っていたら助け合う職場の風土に、今も昔も助けられている
- 大切なのは現場の人の声を聞いて、より良い製品をともに生み出すこと
- インフラで暮らしを豊かにすることで、「世界をより良い場所にしたい」
企業が掲げる理念を体現するということはどういうことなのだろうか。東芝グループの経営理念や存在意義、大切にしたい価値観を現場で実践し、東芝ブランドを育む社員一人ひとりが抱く想いに迫る。今回の舞台は、電力用変圧器、開閉装置、避雷器といったエネルギー関連製品の設計と製造をしている東芝の浜川崎工場。部品加工と溶接の製造技術に携わる白鳥氏にインタビューし、仕事への想いや、これからのビジョンについて聞いてみた。
浜川崎工場のスケールの大きさに魅せられて
——大学ではどのような勉強をされてきたのですか。
大学では機械工学を専攻していました。学科の学生はほぼ男性で、80人中女性は私ともう1人だけでした。小さいころから機械いじりが大好きで、ラジカセなどを見るとよく分解していたのですが、再び組み立てようとすると、元通りにならないことの方が多くて、親を困らせていましたね(笑)。
——東芝を志望したのはどんな理由からですか。
子どものころから機械を触るのが好きだったので、やはりモノづくりに携わりたいという想いがありました。中でも興味があったのは人々の生活を支える社会インフラの仕事。2006年、東芝がウェスチングハウスを買収するというニュースが大々的に報じられていた時期で、「東芝もインフラをやっているのか。どんな会社なんだろう」と興味を持ったのがきっかけでした。工場見学があると聞き、浜川崎工場に見学に行ってみると、まずそのスケールの大きさに圧倒されました。研究室での機械加工は本当に小さいものでしたので、こんな大きな設備を使って機械加工ができたら楽しいだろうなと、とてもワクワクしたのを覚えています。そして、「世界中に電気を供給し、安心安全に暮らせるための設備を作っている」と誇りを持って仕事に取り組む現場の人たちの姿に感銘を受けたというのも入社を決めた理由です。
——実際に浜川崎工場で働いてみて、いかがでしたか。
工場は年上の男性が多く、中には強面で怖そうな人もいたのではじめは緊張していましたが、いざ話してみると気さくで何でも教えてくれるので、すぐ職場になじむことができました。「これは、こうやるんだよ」といとも簡単そうに教えてくれるのですが、やってみるとなかなかできない。自分の腕に絶対的な自信があり、誇りを持ってモノづくりに取り組んでいることがひしひしと伝わってきました。モノづくりは非常に奥が深く、機械加工や溶接といった工程の中の一つ一つの作業にも、ちゃんと意味があります。その作業をきちんと行っていくことによって製品に価値が付加されていく。これを実際に目で見て確認できたことが、新人の私にとって大きな学びでした。今は、自分もそこに加わりながらどのように現場の皆さんをサポートしていくか、ということを常に念頭に置いて仕事をしています。
東芝エネルギーシステムズ株式会社 開閉装置部 開閉装置製造技術グループ 白鳥 佐紀子氏
現場の人たちの声に耳を傾けることが大事
——工場では、どのような仕事をされているのですか。
私が所属する部門は、変電所や発電所などに使われている開閉装置をつくっています。落雷などによって異常電流が発生したとき、それを遮断して正常な回路に戻す装置です。わかりやすく言うと、家庭にあるブレーカーのような役割を果たすものです。その中で私は、部品の加工や溶接の製造技術を担当しています。新しい部品をつくる際、どのような方法が最適かを考えたり、既存の製造ラインの改善を通じて、より良い製品をより安いコストでつくるために、現場を技術面からサポートしたりする仕事です。
——仕事をする上で心掛けていることは何ですか。
現場の声を聞き、設計者の意図を正確に理解することが基本だと思っています。特に私は現場が自分のフィールドですので、現場の人たちが困っていることに耳を傾け、話し合いを重ねることを心掛けています。それによって問題の本質が浮かび上がってきますし、お互いの理解も深まります。逆に、自分のやりたいことや机上で考えたことばかりを主張すると、現場から理解を得られず、結果として工程改善も進みません。
また、現場の声を聞くことと並んで大切なことは、技術者としてデータに誠実に向き合うということだと思っています。データを基に考えることが仕事の基本で、効果を数値で表すことはもちろん、改善のためにデータを用いて議論することを大切にしています。
——ご自身の仕事を誇りに思うときはありますか。
人々の暮らしを支える製品をつくっていることでしょうか。今回のコロナ禍で、今まであたり前にやっていたことができない不便さを痛感している人が多いと思いますが、電気に関してそんな思いをすることのないよう、“あたり前”をつなげていくことが私たちの使命だと考えています。
精密研削加工室にて開閉装置部品を製作
自分の子どもに誇れる会社にしたい
——理念体系の中で、白鳥さんが大切にしている言葉はありますか。
「私たちの価値観」の「ともに生み出す」です。私の仕事は、自分独りで完結できるものではなく、設計、技術、製造、組み立てなど、各部門の人たちの意見を聞いてより良い製造方法をつくりあげていきます。モノづくりの過程では、意見がぶつかることもありますが、それをマイナスの方向ではなく、プラスの方向に導き、パワーを倍増させていくことが、より良い製品につながると感じています。「改善」と言うと格好良く聞こえるかもしれませんが、変えてもまた元に戻ってしまうこともあり、常に上手くいくことばかりではありません。それでも改善したことが定着したり、「ここが良かったよ」と言ってもらえたりすると、やって良かったと思えますし、嬉しいですね。また、「私たちの存在意義」にある「世界をより良い場所にしたい」という言葉も好きで、これは入社当初から私が思っていたことでもあります。日本では電気をはじめとするエネルギーが途切れることなく供給されていますが、世界に目を向けると、まだそういう環境にない地域が少なくありません。インフラ設備を導入することで、そこに住む人々の暮らしをより豊かにすることに私たちの存在意義があると思っています。
——これからの目標をお聞かせください。
私が担当する製造技術の仕事には、設備投資計画の策定も含まれます。浜川崎工場の設備の中には30年以上経っているものもあり、それをどのように使い、更新していくと付加価値を生み出せるかを検討し、製造ライン全体の効率化を図ることが目標です。今後も、モノづくりの現場でずっと仕事をしていきたいなと思っています。
——仕事と子育ての両立は大変ですか。
二度の産休・育休だけでなく、復帰してからも1年くらいは、子どもが熱を出したりして出社できずに迷惑をかけることもありました。そのたびに職場の人々にサポートしてもらい、とても感謝しています。会社の制度も大切ですが、個々の従業員の事情や働き方をお互いに認め合い、助け合う職場の風土に、とても助けられたと思っています。
——今後、東芝にはどんな会社になってほしいと思いますか。
仕事をしていると、意見がぶつかったり、部門間の壁に阻まれたりすることがあります。そんなときでも、みんなが自由に意見を出し合い、助け合いながら目標を目指すような社風を大事にしていきたいですね。私自身、職場のチームワークも良く、とても恵まれた環境で働いていると感じています。これからも、自分の子どもに誇れるような会社にしていきたいです。子どもがもう少し大きくなったら、「お母さんはここで働いているんだよ」と、胸を張って工場を見学させてあげたいですね。