「変革への情熱」を胸に、防衛分野のシステム開発に向き合う ~理念ストーリー We are Toshiba~
「変革への情熱」を胸に、防衛分野のシステム開発に向き合う ~理念ストーリー We are Toshiba~
2026/08/18 Toshiba Clip編集部
この記事の要点は...
- 一流の技術者になるために選んだ道は、一流の技術者の中に飛び込むこと
- お客様との対話を重ねることで、お客様の言葉を正しく理解する
- 技術者としての理念を胸に、本当の意味でお客様のためになるシステムを目指す
防衛の現場では、膨大な情報を的確に把握し、状況に応じて迅速に戦術を決定・指示することが必要となる。それらを円滑に行うために求められているのが「指揮統制システム」だ。部隊の位置情報を地図上に可視化し、指揮官の判断を支え、命令を前線の隊員へと届ける。東芝の秋田谷朋紀氏は、そんな、指揮全体を「頭脳」として束ねるシステムのソフトウエア開発を担っている。
秋田谷氏は、東芝グループの理念体系の中の「私たちの価値観」の一つである「変革への情熱を抱く」という言葉を自らのテーマに掲げている。顧客の言葉を的確にシステムに反映し、時代の変化を先読みして提案する。防衛を縁の下で支える、一人の技術者をご紹介しよう。
一流の技術者を目指した就活生の選択
指揮統制システムは、様々なセンサーや装備品から集まる情報を地図上に集約し、指揮官が戦術を決定・指示することを支援する。
「こちらの部隊がここにいて、脅威はあちらから来ている。では、どの部隊がどう対処するべきか。そうした判断の根拠となる情報を、整理・提示するのが、このシステムの役割です」と秋田谷氏は説明する。

秋田谷氏が担うのは指揮統制システムのソフトウエア部分。システムの要求分析・要件定義からソフトウエアの設計・製造、さらには複数のベンダーを束ねる取りまとめ役まで、広範な業務を手掛ける。東芝の研究所との連携による技術の検討も守備範囲だ。
大学で無線通信を専攻した秋田谷氏の就活時代の目標は、一流の技術者がいる会社で自分を磨くことだった。東芝への入社には、就活中に知り合ったリエゾン※(リクルーター)の先輩の影響もあったという。直接面識のない先輩だったが、社内の雰囲気などを聞くうちに、入社への意欲が高まっていったのだ。
「防衛分野に強い思い入れがあったわけではありませんでしたが、一流の技術者がたくさんいる東芝という会社に入れることがうれしかったです。内定の連絡が来たとき、すぐに仲間に『受かったよ!』と報告したのを今でも覚えています」
※東芝の技術系選考フローの一つである「学校推薦コース」では、指定校OB・OGであるリエゾン(=リクルーター)が、企業・部門・職種選びのアドバイザーとして募集部門との橋渡し役をする。
顧客に寄り添うための試練
秋田谷氏は入社後、ハードウエアの設計部門に配属されていた。現在所属するソフトウエア部門への配置換えは、自ら上司に願い出て実現させた。入社から3年目のことだった。
「ハードウエアの設計に携わるうちに、『このシステムをもっと深く理解したい』という思いが募ってきました。そんな願いに、上司は快諾してくれました」

その配置換えの直後、大きな試練が訪れる。システム改修の取りまとめを、ソフトウエア担当として任されたのだ。初めて顧客に対面し、東芝の代表として要件を聞き取り、設計案を提示する。入社3年目の若手技術者にとっては、まさに大きな試練だった。
「ハードウエアを担当していたときは、社内の製造部門と連携した仕事が多かったため、お客様と話す機会は多くありませんでしたが、ソフトウエアの担当になってからは、お客様と直接話すことが多くなりました。最初は緊張しました」と秋田谷氏は振り返る。
秋田谷氏が苦労したのは、顧客が使う言葉の意味を正しく理解しながら、顧客と話すことだった。
「技術者の説明をそのままお客様に伝えても通じないことがあります。お客様に説明するときは、お客様の言葉に合わせた回答になるように、自分の中での翻訳をしなければいけませんでした」
防衛に関わる情報は公開されていることが少なく、ネットで調べるということも難しかった。それでも、顧客との対話を重ね、社内で話を聞き、少しずつ知識を積み上げていった。
「変革への情熱を抱く」――自分の言葉で語る理念
東芝グループには、「私たちの価値観」として4つの言葉が掲げられている。「誠実であり続ける」、「変革への情熱を抱く」、「未来を思い描く」、「ともに生み出す」だ。この4つについて問われた秋田谷氏は、しばらく考えてから、こう言った。
「技術者として『こうありたい』と思っていることを言語化すると、この4つになると思っています。会社と自分の価値観の一致も、東芝に入ってよかったと感じることの一つです」
中でも、特に心に響くのが「変革への情熱を抱く」だという。
「お客様から求められたものをそのまま作るだけでは足りません。『なぜそれが求められているのか』という本質まで考えた上で、今のあり方が本当に正しいのかを問い直す。そこまでやって初めて、本当の意味でお客様のためになるシステムが作れると思っています」と秋田谷氏は語る。

指揮統制システムの開発は長年にわたり続けられている。改修を重ねるうちに、技術者の思考が知らず知らずのうちに「昔ながらの繰り返し」に染まっていく危険も常に潜んでいると秋田谷氏は考えている。
「昔ながらの繰り返しに最適化されてしまうと、どんどん時代に取り残されていきます。時代の変化に伴い、顧客の思考はどんどん変わっているんです。それに合わせて、自分たちも変わっていかないといけないことがたくさんあります。そのことを忘れないように仕事をしていきたいと思っています」
さらに、秋田谷氏はこう語る。
「東芝が長年培ってきた指揮統制システムのノウハウと、研究所や各部署が持つ技術を組み合わせると、先進的なアイデアを創出できると思っています。それは東芝ならではの強みだと感じています」

一方で、秋田谷氏は自分の立ち位置を「プロデューサーではなく、アーキテクト」と表現する。
「ふわっとしたコンセプトを、実際の物作りに落とし込む。どういうソフトウエア構造で、どんな技術を使えば実現できるか。そこを考えるのが自分の得意なところですし、一番力を発揮できるところだと思っています」
秋田谷氏が東芝について語るときに繰り返す言葉がある。それが「一流の技術者」だ。
「入社してから出会ってきた東芝の皆さんは、みんな責任感を持って仕事をしていました。お客様に誠実に向き合い続けてきた人たちです。そういう人たちと仕事ができているということが、自分の中では大きいです。これから東芝に入社する方にも、そこを感じてほしいと思っています」と秋田谷氏は語る。
顧客と対話を重ね、彼らが何を守ろうとしているかを肌で感じてきた秋田谷氏はこう続ける。
「使命感を持って職務に当たっている人たちに、技術で応えられるというところは、自分の仕事が『人のためになっている』部分だと感じています」
休日は、好奇心旺盛に料理のレシピを試し、自宅ではAIコーディングエージェントを動かし、新しい技術を試し続ける。そこには、仕事でもプライベートでも、「試してみる」ことをやめない技術者の姿がある。「トライ&エラー」は秋田谷氏の仕事の哲学であり、生き方でもある。
防衛の現場を支えるため、今日もコードが書き換えられていく。その先に、誰かの安心と安全がある。


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