東芝の若き技術者たち ~新しい買い物文化の創造~

2021/08/31 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • レジに店員のいないスーパーで、新しい買い物を
  • 営業の現場でこそ得られる、お客様の声が未来をつくる
  • 良いモノを欲しい人に届ける、当たり前の流通を実現したい
東芝の若き技術者たち ~新しい買い物文化の創造~

「買い物」という行動は、単にモノやサービスを手に入れるための手段ではない。それは、いつも我々の生活の中心にあり、人間が人間らしく生きるための意欲の源でもあり、文明社会を構成する太い骨組みでもある。しかし長引くコロナ禍により、こうした買い物にも大きな変革が求められている。

無人決済店舗と組み、POSの価値を上げる

店頭で商品を選び、代金を支払って、それを手に入れる。当たり前のように行われている買い物の流れの中で、支払い時点の顧客情報を管理するシステムがPOS(Point of Sales:販売情報管理)である。このPOSシステムで、世界トップクラスのシェアを誇る東芝テック株式会社でも、大きな変化が予想される買い物の未来について様々な検討や取り組みが行われている。

 

「人手不足やコロナ禍の今、これから必要とされることを予想し、自社の強みを生かして開発を進め、素早くお客様に提案できる力が求められています」

 

東芝テックの井上生健氏は、同社の成長戦略の一環として、新しい時代の買い物の在り方と、同社の進むべき方向性についてこう語った。

 

東芝テック株式会社 リテール・ソリューション事業本部 商品企画開発統括部 サービスソリューション商品部 未来ソリューション担当 井上生健氏

東芝テック株式会社 リテール・ソリューション事業本部 商品企画開発統括部
サービスソリューション商品部 未来ソリューション担当 井上生健氏

東芝テックは、2021年、高輪ゲートウェイ駅構内などでの無人決済店舗システムを展開している株式会社TOUCH TO GO(本社:東京都港区、代表取締役社長:阿久津智紀、以下、「TTG」)と業務提携を始めた。この業務提携では、無人決済店舗システムに蓄積される「購買前の顧客行動データ」と「POSデータ」を組み合わせることによる、社会が直面する課題の解決や、DX(デジタルトランスフォーメーション)による新たな取り組みの創出に期待がかけられている。

 

山手線 高輪ゲートウェイ駅構内にオープンした無人決済店舗。陳列棚に取り付けられた重量センサーと天井のカメラによって、顧客が購入する商品を自動認識し、セルフレジで会計を行う

山手線 高輪ゲートウェイ駅構内にオープンした無人決済店舗。
陳列棚に取り付けられた重量センサーと天井のカメラによって、顧客が購入する商品を自動認識し、セルフレジで会計を行う

「人手不足などの社会課題の解決と新たなサービス展開を目指し開発が進められていた無人決済店舗とPOSの組み合わせが、今や感染拡大防止のために、スタッフとお客様の接触機会を最小限にするソリューションとしても期待されています。こうした、新しい社会の実現のため、東芝テックが培ってきた技術と、優れた新しい技術をつなげていくのが私の仕事です」

誰が喜ぶか ―猛勉強と提案のサイクルが生む新しい価値

井上氏が現在の職場である商品企画開発統括部で未来ソリューションを担当することになったのは、2021年のことだ。それまでは入社以来8年、一貫してソリューションエンジニアとして量販店向けのPOSシステムの顧客向け販売に携わってきた。

 

「担当地域は千葉県及び神奈川県が中心でしたが、特に神奈川県は『俺に任せろ!』といった自信を持てるほどお客様との良好な関係を築けたと思っています」

 

井上生健氏

 

前任のソリューションエンジニア職に関して大きな自信を持っていた井上氏だが、実は就職活動で大学の恩師に紹介されるまで、東芝テックの名前すら知らなかったという。

 

「先生に『君に合うと思うよ』と紹介されて、初めて東芝テックの名前を知りました。でも、調べて見るとPOSというシステムの分野でトップクラスのシェアを持っているということを知り、俄然興味がわいてきました。面接の時も、トップクラスのシェアを維持するポイント、プライドについて聞きまくりました」

 

数学が好きで、理科系の大学に進んだ井上氏には、人と話すことが好きなので他に心に秘めていた「就きたい仕事」があった。それは教師だ。大学の恩師が東芝テックを井上氏に紹介した理由も、そんな彼の人柄を見越してのことだ。秀でた数学の能力を土台に、大学で学んだ電子工学の技術と、持ち前の明るさの両方を生かすことができる東芝テックでのソリューションエンジニア職が向いていると考えたのだった。

 

技術と人付き合いの両方を満たせるソリューションエンジニアという仕事は、井上氏にとって天職だった。そして、東芝テック入社後は、自社製品について、POSシステムそのものについて猛勉強し、顧客との対話の中で見つけたニーズに対してこまめに解決策を提案した。井上氏は、当時を振り返って次のように語る。

 

「入社直後、先輩についてお客様回りをしていると、その知識量の大きさに驚かされました。POSシステムの導入や更新は、顧客にとって大きな投資です。自社製品への理解の深さはもちろん、お客様の業界から個々の事情まで踏まえて提案を繰り返すことで、お客様にとってなくてはならない存在になれたと考えています」

 

そんな井上氏が、現場代表として東芝テックの成長戦略を検討するプロジェクトに関わったのがきっかけで、今の未来ソリューション担当へ異動となった。ここで必要とされる知識は今までとは大きく異なるため、新しい領域をまた猛勉強中だという。

 

「今の部署にきてから、既存製品の枠を飛び越える頭の使い方に変わりました。そのためには、社会の変化を見据えないといけません。未来は突然やってくるのではなく、新しい現象を観察し、『誰が喜ぶか』を想像し、その実現方法を考える。お客様と向き合った経験が、机上の空論に終わらせない社会実装へのこだわりにつながっています」

 

井上氏は現在、前述のようにTTGとの業務提携により得られた新しい技術と、東芝テックの持つ経験と販売網を融合した無人決済店舗ソリューションの普及を進めている。そしてその先には、オンラインと実店舗の垣根すら取り払った、新しい「買い物」の在り方を実現する仕組みについても構想中だと語る。

 

新しい未来をつくるTTGとのプロジェクト

新しい未来をつくるTTGとのプロジェクト

「例えば、優れた商品を作る生産者が、消費者とのコンタクト手段を持たないために、その商品を届けられない現実がまだあります。『ここに、こんないいモノがある』と『これを欲しいと思う人がいる』をつなげられるような、新しい買い物の仕組みを技術の側面から実現したいと思っています」

 

コロナ禍によるパラダイムシフトに流されるのではなく、ゲームチェンジャーとして新しい未来をたぐり寄せる牽引者となることを彼は選んだのだ。顧客、パートナー企業と対話する時間を楽しみ、集合知で価値を生むプロセスを味わう。生み出す結果に魅力を感じ、お互いに成長するのが喜びだ。

 

新しい未来をつくるTTGとのプロジェクト

関連サイト

※ 関連サイトには、(株)東芝以外の企業・団体が運営するウェブサイトへのリンクが含まれています。

東芝テック: 東芝テック、TOUCH TO GOとの業務提携について

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