現場で働く全員が仲間。会社の枠を越えてともに生み出す ~理念ストーリー We are Toshiba~

2021/09/24 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 様々な会社・パートナーと関わるのが現場の仕事
  • 仲間の立場を考えることが、「ともに生み出す」秘訣
  • 従業員には、誠実だけでなく自分で考えて「チャレンジできる人」になってほしい
現場で働く全員が仲間。会社の枠を越えてともに生み出す ~理念ストーリー We are Toshiba~

東芝ブランドを現場で育む仲間たちの想いや大切にしている価値観を紹介する、理念ストーリー。今回インタビューしたのは、東芝プラントシステム株式会社でインフラ設備の設計・施工に関わる産業システム事業部長の大前氏。現場で様々な関係会社やパートナーと関わりながら一つのものをつくりあげていく同社にとって、相互の信頼関係構築が必要不可欠だ。ここでは、東芝グループの「私たちの価値観」のうちの一つ、「ともに生み出す」がどのように実践されているのか、豊富な現場経験を持つ大前氏が語る。

初めての現場で揉まれた若手時代

−−はじめに、東芝プラントシステムはどんな会社か、紹介していただけますか。

 当社は、原子力発電や火力発電、上下水道や道路・鉄道など、様々な社会インフラ設備のEPCC(エンジニアリング(企画・設計)、調達、施工、試運転の全て)を一気通貫で行う会社です。私が所管する産業システム事業部は、民間の製造プラント建設や制御システムの導入、電力会社・鉄道会社の系統・変電関連設備の試験調整、太陽光などのクリーンエネルギーを利用した発電所の建設工事などを担当しています。人々の暮らしと産業活動を下支えする仕事であり、私たちの経営理念「人と、地球の、明日のために。」はまさにそれを表しています。

 

−−建設作業現場では、コロナ禍の影響は大きいのではないでしょうか。

 リモートワークも積極的に導入をしていますが、業務の性格上、どうしても現場対応は必要となります。現場では作業員に対し室内や密接となる作業に対してはマスクの着用をお願いしており、夏場は従来以上の熱中症対策が必要となっています。そんな制約が多い状況にもかかわらず、作業が長期間中断した現場はなく、全ての現場で作業を続けています。

 

−−大前さんはなぜ東芝プラントシステムへの入社を志望されたのですか。

 毎日同じことを繰り返す仕事ではなく、常に変化し、新しいことを経験できる建設業界で働きたいと思っていました。そんな折、学校の先生から東芝プラント建設(東芝プラントシステムの前身)を紹介していただき、入社を決めました。

東芝プラントシステム株式会社 取締役常務 産業システム事業部 事業部長 大前 幸雄氏(1)

東芝プラントシステム株式会社 取締役常務 産業システム事業部 事業部長 大前 幸雄氏

−−入社直後、どのような仕事をしていましたか?

 最初は現場に出て働いていました。建設現場では鉄筋屋さんや大工さん、左官屋さんなど、様々な関係会社の方がそれぞれの専門領域を担当し、一つの工事の完成を目指します。現場では様々な作業が同時進行で進むためスケジュール管理が難しいのですが、工期を守りたい気持ちが、自社の都合を優先して主張させてしまうことがあります。大工さんや左官屋さんなども同じ状況であることに変わりはなく、自分の都合だけを考えていると不協和音が生じて、現場の雰囲気がギクシャクしてしまい、物事がうまく運ばなくなります。若い頃はそういった関係者の方々にストレートに思ったことを話していたので、振り返ると失敗が多かったなと思います。

 

−−20代で現場管理を任されていたそうですが、当時を振り返って、いかがでしたか?

 一つひとつ覚えていられないほど失敗だらけで、失敗のたびに反省しながら成長することができたのかなと今は思っています。特に若いころは、「自分がしっかりしないと……」という思いが強すぎて、結果的には周りの人に相当なご迷惑をおかけしたと思います。その中でも思い出に残っているのは、初めて現場に出た都内の郵便局の新築工事です。内装工事屋さんが天井のボードを貼った後に天井裏で電気工事をしなければならなくなり、天井下地をガタガタにしてしまって貼り直してもらうということがありました。内装工事屋さんはカンカンに怒ってしまい、「これは大変なことになった」と思いましたが、全ての工事が終わったとき、その内装工事屋のおやじさんから「お前じゃなかったら、もっとお金を請求するところだけど、誠実に対応してくれたからいいよ」と言ってくれました。その言葉で救われ、この仕事に就いて良かったと思いました。

東芝プラントシステム株式会社 取締役常務 産業システム事業部 事業部長 大前 幸雄氏(2)

相手と話すときは否定から入らないこと

−−そうした経験を通して得たものは何でしょうか。

 設計も含めて、建設業では一人でできることはごく限られていて、多くの関係会社やパートナーの人たちと力を合わせる必要があるということです。それはまさに私たちの価値観の一つ、「ともに生み出す」ということ。自分の見栄や都合だけではなく、どうすればみんなの顔が立ち、そして協力していただけるかということです。そのためには一緒に働いている人たちへの配慮が不可欠です。

 

−−意見や立場の違いによって摩擦が生じることもあると思います。そんなとき、一番大事なことは何だとお考えですか。

 相手の人と接するとき、否定から入らないことです。私は、全員が気持ちよく仕事をして成果を出すのが一番幸せなことだと思っています。否定から入ると、そういう気持ちは必ず伝わりますし、相手の気持ちを考えられていないですよね。また、自分が間違っていることもあります。「ともに生み出す」ためには、フラットな目線で判断することが大切です。もちろん、全員に満足・納得してもらうことは難しいですが、まずは相手の意見をよく聞き、その上で自分の考え方を相手に分かるようにきちんと説明し、理解・納得してもらうというステップが大切になります。

 

−−「ともに生み出す」ことが難しく感じる時はありますか。

 安全や品質関連のトラブル対応時です。労働災害や品質事故が起きると作業が停止となり、原因の究明や再発防止策の立案など、想定外の作業に忙殺されます。徹夜をして再発防止策を立案しても一度の説明で終わるということはなかなかありません。ただでさえ工期が厳しいのに、そういう日々が続くと現場が疲弊して士気も落ち、それによってまたトラブルを発生させてしまうという負のスパイラルに陥ってしまいます。そんな状況下では、「ともに生み出す」という一体感を維持するのは相当困難です。

 

−−トラブルを起こさないために必要なことは何でしょうか。

 一つは、同じ現場で働いている人は、会社や所属が違っても同じ仲間だという意識を忘れないことです。現場を預かる自分にとって一番大切なことは、みんながケガなく安全に仕事をし、無事に帰宅して家族や友達と幸せな時間を過ごしてもらうこと。だからこそ、ルール違反や不安全行動を見かけたら親身になって注意する。そういう気持ちが伝われば、相手は必ずわかってくれるはずです。反対に、そういう気持ちがないと、何を言っても本心を見透かされてしまって、仲間意識は生まれません。

 二つ目は、問題の本質から目を逸らさないことです。目先の仕事をこなすのに精いっぱいという状況では、必ずトラブルが生じます。忙しいとは思いますが、全体を見て問題の本質がどこにあるのかを考える。そのひと手間を惜しむか、惜しまないかで出力は大きく変わります。

 

東芝プラントシステム株式会社 取締役常務 産業システム事業部 事業部長 大前 幸雄氏(3)

求めるのは、自分で考えてやりたいことを実現する「前向きさ」

−−大前さんは今後、東芝プラントシステムをどのような会社にしていきたいと思いますか?

 当社の従業員には東芝という看板を背負い、「逃げずにやり切る姿勢」があります。「コンプライアンスを守りながら、やるべきことをきちんとやり遂げるんだ」という意識を皆一貫して持っている。もちろん技術力と、しっかり試験調整したものを引き渡すスキルもあります。そこは私たちの誇りです。しかし、私がさらに従業員に求めるものは「自分で考えられる人」になってほしいということです。例えば、社会課題の一つとして環境配慮技術やカーボンニュートラルへの取り組みなど、私たちが課題解決に貢献できる余地は大きいと思います。自分がやりたいこと、やるべきだと思うことがあるなら、「そのために何をすべきか」を考え抜き、実現に向けて動き出す前向きさが欲しいです。そのためには、広く仲間を集めてアイデアを出し合い、様々な角度から検証しながら、より良い計画に仕上げていくことも重要です。そうして得た私たちができることと、お客様のニーズが合致するポイントを探っていく。そこでお客様の価値を高めることが、私たちの本当の価値だと思います。一人で考えたものは成果も偏りがありこじんまりしていますが、みんなが力と知恵を出し合えば、はるかに大きな結実が得られると思います。そうやって一つずつ「ともに生み出していく」ことで、活気とチャレンジ精神あふれる会社にしていきたいです。

東芝プラントシステム株式会社 取締役常務 産業システム事業部 事業部長 大前 幸雄氏(4)

東芝グループ理念体系

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