従業員が提案!東芝の「働き方改革Award」とは?

2021/10/22 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 本質的な意識改革を狙った、「働き方改革Award2020」の中身とは?
  • 目指すのは、ニューノーマルの働き方を皆で創出する自分ゴト化
  • アワードを通して従業員に伝えられた、一番大切なメッセージとは?
従業員が提案!東芝の「働き方改革Award」とは?

技術の発展やコロナ禍によるリモートワークの定着などにより、働き方が急速に変化している昨今。「変革」というものは、自分たちを取り巻く環境がガラリと変わることで一気に加速するものだ。東芝は昨年から、コロナ禍というこれまでとは全く異なる状況を利用して、「働き方改革」における新たな試みをスタートさせた。その名も、「働き方改革Award2020」。

 

当初の予想を上回る103件の応募が集まったこの施策は、東芝の価値観の一つ、「変革への情熱を抱く」ある人事部員によって始まった。その施策が社内にどのような影響を与え、また、これからの働き方をどう変えていくのだろうか。東芝の働き方改革委員会 事務局の呉怡氏、小谷優太氏に話を聞いた。

働き方改革を自分ゴト化するために

「働き方改革Award」は、意識変革やパフォーマンス向上、新しい価値創造に繋がる取り組みを、従業員が自発的にノミネートし従業員投票によって選出する、従業員提案・参加型の社内表彰制度である。

2019年度以降、東芝でも働き方改革を進めるための制度を整備し、在宅勤務の認可やサテライトオフィスの開設など、様々な施策が講じられてきた。一方で、より本質的な意識改革に繋がる“次の一手”の必要性が議論されてきたという。「働き方改革Award2020」実施の背景について、呉氏は次のように語る。

人事・総務部 人事企画第一室  人材・組織開発企画グループ 呉 怡氏

人事・総務部 人事企画第一室  人材・組織開発企画グループ 呉 怡氏

「課題としてはまず、働き方改革を従業員一人ひとりが自分ゴトとして捉える必要があると感じました。制度によって“やらされている”のでは意味がなく、当事者意識を持つことが大事です。そこで会社から指示するのではなく、従業員自ら働き方改革を提案できる仕組みを作りました。さらにコーポレート人事部門の立場から何ができるかを考えたとき、グループ会社を横断して横展開できる利点があると考え、よりカジュアルに参加できるアワード形式を用いることにしました」

 

以前、東芝グループ会社の人事部門を経験していた呉氏。「人事部門が施策を各部門に通知するだけでは従業員にとって施策の背景やねらいの理解が不十分だ」という課題を抱えていた。コーポレート人事部門に異動した後、これまで感じていた課題の解決と、コーポレート人事部門としてできることを考え、動き始めたという。これがまさに、東芝グループの私たちの価値観の一つ、「変革への情熱」だった。そんな想いから始まった施策だが、実際のところ結果はどうだったのか。呉氏に聞いてみた。

 

 

「応募数は30~40件あれば良いほうと考えていましたが、結果として103件もの応募がありました!しかも1件1件改革への熱い想いが込められていて嬉しく思うと同時に、未来を思い描く意思の強さに、私たち自身とても感動しました」(呉氏)

 

オンラインでかつ「アワード形式」を取ったことも功を奏した。応募へのハードルがぐっと下がったことにより、多くの従業員の「変革への情熱」があふれ出た。また他の従業員の応募内容も見られるため、各々がコメントし合い、自然と横のつながりができたことも良い結果だったと言えるだろう。さらに、よりフレキシブルな視点で新たな価値創造に繋げるために、『柔軟な働き方』、『業務改革』、『働きがい向上』、『テクノロジー』という4つの項目を評価軸として設定したことも、今後の方向性を示す良い機会になったという。

受賞チームの発表も人事・総務部長よりオンラインで実施した。

受賞チームの発表も人事・総務部長よりオンラインで実施した。

社内有志コミュニティの巻き込み ──できることはすべてやる

前述のように、長引くコロナ禍で働き方を変えざるを得ない状況も、従業員の自分ゴト化を後押した。コーポレート人事部門で、制度設計を担う小谷氏は、次のように述懐する。

 

「東芝では、ビフォアコロナ期においても在宅勤務が制度化されていました。そのため、コロナ禍によって罹患対策として在宅勤務の必要性が急激に高まるなかであっても、制度やセキュリティ対策などをゼロから構築する必要がなかったため、速やかな対応を行うことができ、在宅勤務が一気に定着したのかと思います。」(小谷氏)

人事・総務部 人事企画第二室 制度企画グループ 小谷優太氏

人事・総務部 人事企画第二室 制度企画グループ 小谷優太氏

しかし、そうした土壌はあっても、「どのような応募がどのくらいあるのか、どの程度このアワードに関心を持ってくれるのか、不安がなかった訳ではありません」と小谷氏は当時の心境を吐露した。だからこそ、「できることはすべてやる」という考え方で、あらゆる苦労を厭わなかった。具体的な取り組みを、呉氏に聞こう。

 

「少しでも意義を理解してもらうために、告知文に私たちのこだわりポイントを盛り込みました。それは、ニューノーマルの働き方は、本社が指示するのではなく、“みんなで創り出すもの”だということ。それと同時に、コロナ禍に限らず今後どのような変化が起きても対応できる工夫が求められていて、今回のアワードはあくまできっかけに過ぎないということもメッセージに込めました」(呉氏)

 

さらにボトムアップからも推進するべく、社内有志コミュニティの力を借り、プロジェクトを大きく加速させた。小谷氏、呉氏、そしてコミュニティメンバーで議論はぶれなかった。選考の際、6,000票以上の投票があったのも、運営サイドの真摯な思いが根底にあればこそだろう。

 

「東芝には、自分たちの手でも働き方を改善し、さらなる価値を出していこうと頑張っているコミュニティが複数存在しています。そうしたコミュニティのリーダーたちに協力をあおぎ、企画の運用や拡散など多くの面でサポートしていただきました。たとえば、働き方改革Awardのロゴ。これは社員一人ひとりが主役であること、また0から1を生み出すという意味が込められています。さらに、受賞に至らなかったチームに対しても、落選というイメージを与えず、今後に生かせる大切な意見としてイベントサイトに『宝箱』というページを設けました。そこにすべての応募作品を格納しています。これらは、そうした有志コミュニティとの議論から生まれたものです」(呉氏)

「働き方改革Award」で応募のあった全案件が格納されている「宝箱」とロゴ。

「働き方改革Award」で応募のあった全案件が格納されている「宝箱」とロゴ。

また、新しい未来を見据える本施策の推進には、若い力が必要不可欠だった。入社5年目のスマルガ氏は実際の企画・運営を、入社6年目の奥原氏は本施策を制度として確立するための働きかけを行うなど、中心となって活躍した。こういった若手や社内の有志コミュニティなど様々な人材を巻き込み、ともに生み出しながら創り上げてできたのが、この働き方改革Awardなのだ。

人事・総務部 人事企画第一室  人材・組織開発企画グループ スヴイアナ スマルガ氏(左) 人事・総務部 人事企画第一室 人事グループ 奥原 智秀氏(右)

人事・総務部 人事企画第一室  人材・組織開発企画グループ スヴイアナ スマルガ氏(左)
人事・総務部 人事企画第一室 人事グループ 奥原 智秀氏(右)

理念に基づいた、東芝らしい改革を

「働き方改革Award2020」では、9つのチームが受賞した。コロナ禍で対面でのコミュニケーションが制限されていく中で、出張などの負担をお客様に強いることなくオンラインでの立会いを可能にしたり、社内システムを効率化させたりする案が多く出てきた。そして今、これらの変革が実装され、ペーパーレスや抜本的な業務効率化をもたらしている。オンラインでの立会いは、社内だけでなくお客様からも好評だそうだ。

9つのチームが受賞。一つひとつが職場のチームメンバー全員から生まれたアイデアだ。

「働き方改革と言えば残業を減らしたり在宅勤務を増やしたりといった施策が目につきやすい中で、働き方改革Awardでは、これまで習慣としてやってきたことをゼロベースで見直し、「変革への情熱」を形にできた点は大きな成果だったと思います。各々が環境に合わせて自律的に改革案を考えることが大切で、それを共有することに意味があることを、一定程度示すことが出来たのではないかと思います。始まったばかりですが、大切な灯火になった手応えを感じています。新しい施策を打っていく中で、リスクも考慮しながら前向きな施策を進めていきたいです」(小谷氏)

 

小谷氏が力強く語るように、今後も改革への意識をさらに深めるため、事務局はすでに「働き方改革Award2021」の開催に向けて準備を進めている。続けて、呉氏も次回に向けての意欲を語る。

 

「最初、『働き方改革Award』は不安もある挑戦でしたが、来年またチャレンジしたいという応募者が多く、その言葉が第2回に向けた大きな力になっています。選考にあたってのプレゼンの場で、それぞれのアイデアに込めた思いを、経営理念にそって熱心に語っていたのが印象的でした。私たちが思っていた以上に変革への情熱を持っており、アワードがそれを表面化させる機会になったのは嬉しかったですね。これからも、組織と個の信頼関係構築に注力しながらこの施策を盛り上げていきたいです」(呉氏)

 

従業員の意識改革に着目した新しい施策を考え、実行する呉氏。勤務や休暇など、関連制度を整える小谷氏。二人は、実はアクセルとブレーキの役割を担っている。一見すると水と油の関係だが、この二つがうまく機能しなければ成し遂げられなかったと、呉氏は言う。また、二人には共通している想いがあった。それは、「人と、地球の、明日のために。」という想いだ。

 

 

「東芝では半期に1度、社長を中心に、働き方改革委員会を実施しています。その席で社長から、『人と、地球の、明日のために。』という経営理念をはじめとした理念体系に基づいた仕事に注力するべきであるという言葉がありました。『働き方改革Award2021』では理念体系に沿った形で案件を募集しているので、まさにこの考え方合致した取り組みであると思います」(小谷氏)

 

一人ひとりの改革が、組織のさらなる活性化への原動力となる。後編では、そんな原動力となった「働き方改革Award2020」での受賞チームの一つ、「在宅×現場コミュニケーションロボット」開発チームに迫り、話を聞いてみよう。

和気あいあいと働く働き方改革Award事務局メンバー

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