事業の未来をともに描く「みんなのDX」の土壌づくりとは?~理念ストーリー We are Toshiba~

2022/01/28 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • DXなくして価値提供なし。今の時代に必要な事業のあり方とは?
  • ピッチ大会などでアイデアを創発し、推進チームは「共通言語」を意識!?
  • 地道なコミュニケーションとビッグピクチャーの共有で、ともに「未来を思い描く」
事業の未来をともに描く「みんなのDX」の土壌づくりとは?~理念ストーリー We are Toshiba~

未来を築くためになすべきことは、明日何をなすべきかを決めることではない。明日を創るため、今日何をなすべきかを決めることだ」。ピーター・ドラッカーの言葉通り、現場に実装される仕組みとそれを推し進めるチームなくして、DX(Digital Transformation:デジタル変革)というステージで歩を進めることはできない。

 

東芝ブランドを育む仲間たちの想いや大切にする価値観を紹介する理念ストーリー。様々な社会課題の解決のために、どのようにDXを現場に落とし込んでいったのか、そのグランドデザインは『スマートプラネットに手を伸ばせ――東芝「みんなのDX」の進路』で紹介した。今回は、DXを文化として社内に根づかせるため、奮闘を続ける実務担当者の取り組みから、東芝の価値観「未来を思い描く」が体現されている姿に迫る。

ボトムアップで東芝を変える! 全社DXを支える信念

CPS戦略室CPSビジネス推進チームのリーダー・岩本氏のもとに集った永幡氏、楊氏。彼らの役目は、岩本氏が描いた全体図をもとに実行計画を策定し、現場に反映していくことだ。

※Cyber-Physical Systems:現実のデータをサイバー空間で分析し、情報や知識としてフィードバックして価値を創造する仕組み

 

「東芝がCPS、そしてDXを推し進めるには、社内文化の変革を通じてDXが常態化された風土を醸成し、新たなデジタルビジネスを創出することが必須です。この2つを両輪で進める具体策として『みんなのDX』が走り出しました。永幡さん、楊さんは二人三脚で進め、事務局として最前線を引っ張っています」(岩本氏)

 

株式会社東芝 CPS戦略室 CPSビジネス推進チーム リーダー 岩本 晴彦氏

株式会社東芝 CPS戦略室 CPSビジネス推進チーム リーダー 岩本 晴彦氏

「みんなのDX」は、①社内ピッチ大会による事業のタネ発掘、②新事業を加速する社内ファンド組成、③オープンイノベーションによる事業創出の3つで構成される。DX・CPSで新たに事業提案する従業員(事業プロデューサー)を支援する、独自の仕組みだ。

 

CPS戦略室が進める「みんなのDX」プログラムの仕組み

CPS戦略室が進める「みんなのDX」プログラムの仕組み

永幡氏と楊氏は、事業のタネ発掘を目的とする社内ピッチ大会「みんなのDX 事業仮説発表会」を企画・運営しつつ、応募事業の精度向上、仮説検証を支援。ボトムアップで全社DXを進めてきた。提案の初期から選抜されたチームをきめ細かく支え、事業化に向けて伴走する。2人を突き動かすのは、「未来を思い描く」揺るぎなき信念だ。

 

「入社して30年ほど経ちます。私が新人の頃は志があれば失敗も許容する文化があり、実際たくさんの失敗を積み重ねて成長してきました。東芝が価値を創造し続けられるのは、そんな風土があってこそ。だから、未来を思い描く今の若手たちも自由闊達に躍動し、時には大いに失敗もしながら伸びていってほしい。『みんなのDX』の活動には、そんな期待もあります」(永幡氏)

 

株式会社東芝 CPS戦略室 CPSビジネス推進チーム エキスパート 永幡 尚敬氏

株式会社東芝 CPS戦略室 CPSビジネス推進チーム エキスパート 永幡 尚敬氏

「私がCPS推進チームに参画する前、ピッチ大会を見学しました。あの熱気は忘れられません。若手の従業員がフードロスを解決するアイデアを情熱的に語り、場内は一気に活気づきました。東芝には、真に社会課題を解決し、社会を良くしたいと未来を描く人たちがいる。そう確認できた瞬間でした。そんな志を支え、応援したい。あの感動は、今も私のモチベーションです」(楊氏)

株式会社東芝 CPS戦略室 CPSビジネス推進チーム スペシャリスト 楊 士倫氏

株式会社東芝 CPS戦略室 CPSビジネス推進チーム スペシャリスト 楊 士倫氏

入社以来、マーケティングや新規事業推進など多様な職責を担い、東芝の風土を深く知る永幡氏。台湾に生まれ、日本文化に憧れて東芝に入社した楊氏。2人は新規事業の創出を支援する中、東芝の分厚い人的資産にあらためて刮目したという。それが表出したのは、回を重ねるごとに熱気を増すピッチ大会だ。スタートアップ9社との共創事例が発表され、直近のプログラム申込者数はのべ250名以上。志ある人材が、次々と『みんなのDX』の旗の下に集う。

 

「東芝の従業員には、DX化のフレームワークを知れば飛躍的に伸びるポテンシャルがあります。メンタリングを通じて、DXとは何かをじっくりと腹落ちするまで説明していきます。また、事業計画の立案では社外のDX専門化とも連携し、きめ細かくサポートします 」(楊氏)

 

「ピッチ大会には入社2年目から、キャリアを総括する思いで臨む50代まで多種多様な従業員が参加します。『魔法のような解決策はない』と言われるように、DXを一気に根づかせる特効薬はありません。私も楊さんと歩調を揃え、一人ひとりと地道なコミュニケーションを取りながらサポートしています」(永幡氏)

 

回を重ねるごとに、アイデアの量、質がめざましく向上する社内ピッチ大会

回を重ねるごとに、アイデアの量、質がめざましく向上する社内ピッチ大会

「今、東芝を変えなければ」――危機感が事業創造を加速させる

社内にDXを認知、浸透させつつ、新事業が自由に創出・創発される環境へ。2019年に東芝に入社した岩本氏は、当時感じていた課題から、こんな青写真を描いたという。

 

「入社したとき、世界有数の技術と有能な人材に目を見張りましたが、同時に失敗を恐れがちで、一部プロダクトアウト思考が強いと感じました。創り上げた技術に対する想いは大切ですが、実際に使うのはお客様です。だからこそ『みんなのDX』では顧客の課題にこだわり、仮説を検証して顧客ニーズに応えるプロダクト創出のさらなる強化を目指しました。

 

今までと違うやり方なので、快く思われない場面も覚悟しました。しかし、従業員が感じていたのは『今、東芝を変えなければ』という危機感。顧客志向が強化され、仮説検証に慣れ、率先して取り組む仲間が増えてきました」(岩本氏)

 

これに楊氏が大きく頷いた。楊氏は、従業員の本来の業務とのバランスを取りながら、「仮説検証」の視点を強調してメンタリング。顧客視点を通すことでアイデアが実践的になるプロセスに、参加者も大きな手応えを感じたという。

 

「参加した従業員にとって、本業がある中での隔週のメンタリング、仮説検証は負荷があったと思います。こまめに支援する中で、『みんなのDX』が事業部でも浸透し上司の理解が高まり、後押ししてもらえる環境になりました」(楊氏)

 

参加者とのやり取りで特に大切にしたのが「翻訳」だ。永幡氏と楊氏は、選抜された20チームを支援する際に、新しい概念や思考プロセスに共感、腹落ちしやすいように別の言葉に置き換え、彼らの文脈でDXの本質を掴めるようにした。

 

「東芝は多様な事業の集合体であり、異なる背景を持った従業員がいます。だから、『マーケティング』という言葉一つとっても、販促施策と捉える人もいれば、戦略設計を包めて捉える人もいました。そこで私たちは、「DX」という抽象概念を、事業ごと職種ごとに合わせて様々に言い換えてきました。また仮説検証を行うための社外のターゲット顧客の声も、事業経験の浅い検討メンバーには理解が進むよう補足していきました。それが翻訳ということであり、東芝で長く働いてきた私だからできたのかもしれません」(永幡氏)

 

「未来を思い描く」ためには、これまでの自分たちのやり方に疑問を持ち、大胆に変革していくことが求められる。推進チームによる、翻訳という地道で丁寧なコミュニケーションを通じて、徹底した顧客志向は醸成され、DXの本質理解も深まっていった。

Why東芝?を突き詰めると、理念に沿った事業が導かれる

岩本氏らは、「みんなのDX」の一次審査、二次審査のいずれでも、かならず次の問いかけをぶつけるという──。“なぜ東芝なのか? その事業は、なぜ他社ではできないのか?”

 

Why東芝?と突き詰めていくと、自社のアセットを活用し、かつ理念に沿っている事業が自然に導き出されます。ただ儲ければいいのではなく、その事業が経営理念である『人と、地球の、明日のために。』なっているか。これは審査する上で最も重要な判断基準です。これは、顧客志向が徹底されていないと答えられません。逆に言うなら、これに答えられるようなら事業として成立する可能性が高まるということです」と、岩本氏は期待を込めて語った。

 

各アイデアを審査する上でのポイント

各アイデアを審査する上でのポイント

「みんなのDX」が始まって3年。この運動体に共感・共鳴し、参画を志す人材は増える一方だ。最後に、日々、一人ひとりと向き合う二人の言葉を聞こう。

 

『みんなのDX』に参加すること、それ自体が東芝の理念体系の実践につながると思います。私たちはどんな事業をしたいのか? なぜ東芝なのか? 私たちは会社をどんな姿にしたいのか? 深く考え抜くからです。参加することから変革が始まり、未来を思い描くことができる。私はそう感じています」(楊氏)

 

「東芝には、高いモチベーションを持った従業員がたくさんいます。彼らは、「未来を創る種をまく人」です。そんな種がすくすく育つ土壌を、『みんなのDX』でつくっていきたい。参加者がそれぞれの事業部に帰り、DXが文化として根付いていけば、いつか私たちは必要なくなります。その日を迎えることが、私たちのゴールです。そのために、DXのやり方を示し、ビッグピクチャーを共有することが、未来を思い描くことであり、我々のミッションです。これからも、この考えに共感してくれる仲間を増やしていきます」(永幡氏)

 

チームメンバーの地道な取り組みを経て、「未来を思い描く」鼓動はしっかりと、そして力強く響いていた。

みんなのDX推進事務局メンバー

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