「人と、地球の、明日のために。」未来にバトンをつないでいく~理念ストーリー We are Toshiba~

2022/02/25 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • サステナビリティとは、「人と、地球の、明日のために。」を体現すること
  • サステナビリティレポートを通じて、投資家などからの評価と自己点検結果を経営の改善や進化につなげる
  • 情報開示に「誠実であり続ける」ために、各部署とのつながりを大事にする
「人と、地球の、明日のために。」未来にバトンをつないでいく~理念ストーリー We are Toshiba~

ここ数年、企業が事業を行っていく上で必須と言われる「サステナビリティ経営」。今後企業は、目先の利益のみでなく、長期的な視点での社会に対するインパクトを考えてゆかなければならない。東芝グループは、「人と、地球の、明日のために。」という信念を長きにわたり大切に育んできた。この信念は、サステナビリティ経営の考え方に密接に通じている。今回はサステナビリティ推進部に所属する福岡氏に話を聞いた。彼女が「人と、地球の、明日のために。」を実現するため、大切にしていることに迫る。

サステナビリティレポートの制作に携わる

−−これまでの経歴をお聞かせください。

大学では地学を専攻し、地球内部のマントルについて研究していました。卒業後は限られた分野だけではなく、広い視野に立った仕事がしたいという思いから、技術営業として東芝に入社しました。父がエンジニアで東芝と仕事をしており、「東芝は人にやさしい会社だよ」といってくれたのも背中を押してくれましたね。その後営業や広報を経て、2015年、CSR推進室(現在のサステナビリティ推進部)に移りました。

−−サステナビリティ推進部とはどのような部門ですか?

サステナビリティ推進部は、社会が、そして会社としてもサステナブル(持続可能)であるために何をすべきか、どうあるべきかを経営に取り込むことや、お客様、投資家、従業員などステークホルダーの皆様に東芝グループの取り組みを発信するなど、サステナビリティに関する様々な取り組みをしている部門です。今、ビジネスに関連した人権問題、エネルギー不足や資源の枯渇、気候変動など、私たちが住む地球には様々な課題があります。私たち企業が存続していくためには、短期的な利益を追求するのではなく、企業活動によって環境・社会に与えるインパクトを長期的に考えながら、社会課題の解決を目指していかなければなりません。これがサステナビリティの基本的な考え方ですが、この考え方を経営に落とし込むのが「サステナビリティ経営」です。東芝グループには、「人と、地球の、明日のために。」という経営理念があります。「事業を通じて私たちの未来に豊かな価値を創造していく」という変わらぬ信念は、「環境や社会に配慮しながら、その先の未来まで価値を提供し続ける」というサステナビリティの考え方と深く通じています。このサステナビリティの視点をグループ全体でさらに強化するために、2021年より、サステナビリティ推進部は社長直轄の組織として配置されています。

−−福岡さんはサステナビリティ推進部でどのような仕事に携わっていますか?

様々な業務を行っていますが、最も注力しているのが「サステナビリティレポート」の制作です。これは、東芝グループのサステナビリティ経営や、ESG*1を考慮しながら社会課題の解決を目指す東芝グループの具体的な取り組みを、投資家やお客様、学生の方々など、ステークホルダーに向けて発信するものです。そのためには環境、品質、総務、調達などの各部門の協力が不可欠で、彼らと意見交換をしながら開示の仕方と範囲を決めてレポートを制作していくのが私の仕事です。

*1…Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字を組み合わせた言葉。これらの取り組みが進んでいる企業を評価し、投資対象とするESG投資がある。

株式会社東芝 サステナビリティ推進部 エキスパート 福岡 真澄氏

株式会社東芝 サステナビリティ推進部 エキスパート 福岡 真澄氏

サステナビリティは、実は最も身近な課題

−−今の部署に異動されて、サステナビリティの仕事に携わることになったときは、すぐに受け入れられましたか?

異動直後は正直ピンときませんでしたね。社外のセミナーにも出かけましたが、そこで出てくるのは国連レベルの話で、自分の会社や仕事とはかけ離れているように見えて、具体的にどう結びつくのかがすぐには理解できませんでした。

−−自分ゴトとして捉えるのはなかなか難しいですよね。

サステナビリティやESG、SDGsなど持続可能性に関わるワードは今や知名度は高い。ただ一方でこれらの言葉が表していることは理想であり、なんだか遠い話のようで自分には関係ない、と思ってしまっている人も多いと思います。でも身近なところでは、たとえば、不当な賃金で労働力を搾取していると言われる企業のニュースを目にすることがありますよね。その事実を知ったとき、たとえ安かったとしてもその商品を買いたいか?というと、答えはNoと言う人が多いと思います。安いモノであれば売れる時代は終わり、今は商品を生み出す過程やその後までしっかりとチェックされ、エシカルな商品であれば高くても買う意識になりつつあります。なぜなら、短期的視点で利益のみを重視し、社会にもたらす長期的なインパクトを考えない企業の商品を買う自分自身も、未来へ配慮をしないことになる、と思うからです。実際、人権への配慮をおろそかにした企業が、罰金を科されたり、輸出入ができなくなったり、取引を停止されたりといったケースも起きています。こういったことが、損益の悪化やブランド力の低下につながっていくわけです。社会に負のインパクトを与えている企業だと見られることがどう影響するのか、他社の事例を知ることは、東芝グループで働く私たちにとっても一番自分ゴト化しやすいのではないでしょうか。

一方で、きちんと環境や社会に配慮した商品やサービス、活動などが高いブランド力につながっている事例を見ることで、サステナビリティへの取り組みは企業としてチャンスにもなることを知ることができます。オーガニック商品やフェアトレード商品など、エシカルなものやサービスが売れていることはまさにその事例の一つです。

株式会社東芝 サステナビリティ推進部 福岡氏(2)

経営理念は「サステナビリティ」を表現したもの

−−東芝グループはどのようにサステナブルな社会実現に貢献していますか?

東芝グループが長年大切にしてきた「人と、地球の、明日のために。」という経営理念には、「人」、「地球」、「明日」という三つの要素が入っています。これは、人類のみが恩恵を受ける世界ではなく、「人類」と「地球」(他の生命も含む)が永続的にバランスを取りながらより良い世界を創っていきたいという想いの表れです。つまり、私たちの存在意義は、企業活動を通じてサステナブルな社会を創り出すことそのものと言えます。東芝グループはこの経営理念体系のもと、サステナビリティ基本方針を定め、経営方針と密接に結びついたサステナビリティ経営を行うことで、サステナブルな社会の実現に貢献しています。そしてそのサステナビリティ基本方針のもと、「マテリアリティ」を特定し、私たちがアプローチすべき優先的な課題に取り組んでいます。例えば気候変動への対応では、バリューチェーン全体でカーボンニュートラルの実現を図っています。私たち東芝グループはエネルギーをつくるところから届けるところまで一貫して手掛けることができるので、「つくる」段階ではCO₂を大気に放出させない装置や、再生可能エネルギーの開発、また「ためる」段階では蓄電池の技術、「おくる」工程では送電ロスの小さい送配電技術を開発するなどCO₂排出削減に努めています。

サステナビリティ基本方針に沿ってマテリアリティを策定(サステナビリティレポートより抜粋)

サステナビリティ基本方針に沿ってマテリアリティを策定(サステナビリティレポートより抜粋)

−−サステナビリティレポートを作る上で、力を入れている点はありますか?

やはり、正しい情報を適切に開示することに尽きると思います。特に最近は、投資家やお客様が企業のESGへの取り組みを重視し、開示された情報をもとに投資や取引を決める傾向が強くなっているので、東芝グループの取り組みを正しく伝えるという私の仕事は責任重大だと思っています。また、その取り組みを私たち自身も客観的に評価できることに加え、ステークホルダーの方々からご意見をいただくことで、経営の改善にもつながります。だから私は、誠実であり続けたい。このサステナビリティレポートは私の力だけでできるものではなく、各部署との連携が不可欠です。「適切な情報を届けること」に誠実であり続けようとするならば、各部署に必要性を説明し、きちんとした情報を提供してもらう必要があります。時にはスムーズにいかないこともありますが、そんなときはどうすればできるようになるのか、どのような表現にすれば分かりやすいか、本音で話して一緒に考えます。さらに、お互いの認識が間違っていないかしっかり確認します。ここが間違っていると伝えたいことの本質がズレてしまうので、認識を一致させることには力を注いでいます。これは、各部署をまとめ上げる立場にあった技術営業時代からとても大切にしてきたことです。サステナビリティレポートの作成は、このような地道な工程なくしてはできないものですが、なんといっても各部署との関係構築こそが、良いものを創り上げる原点。レポートに携わる関係者全員が「情報を開示して良かった」と思えるよう心掛けています。これが来年、再来年も継続してレポートを作る上で大切にしている、私のこだわりです。

−−福岡さんは、「人と、地球の、明日のために。」という言葉をどのようにご自身の仕事に結びつけていますか?

人と地球の明日が繋がって、未来になっていく。その未来というのは、私たちの子供の世代や、私たちがこの世にいなくなった次の世代にもずっと続いていくものです。その未来にバトンをつなげてゆくためにはやはり、「今が良ければ良い」ではなく、「この先の未来のために、何ができるか」を考えてゆかなければならないと思っています。そのために私たちサステナビリティ推進部は存在しているし、東芝グループの取り組みを伝える私がいる。社会に大きく貢献する東芝グループの姿を伝える役目として、この仕事に誇りを持っています。私たちは、外部からの要請があるからサステナビリティに力を入れているわけではなく、東芝グループ自身の使命として、そうありたいと思っている。人と地球のより良い明日を創るため、私たちが存在しているからです。従業員の皆さんには、日々の業務を通じてすでにサステナビリティに取り組んでいることを、ぜひ誇りに思って欲しい。私はそんな東芝グループの等身大の姿を、これからも伝え続けていきたいと思います。

株式会社東芝 サステナビリティ推進部 福岡氏(3)

東芝グループ理念体系

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