被疑者の顔と逃走経路を瞬時に特定 ビッグデータを高速照合する技術

2016/08/24 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 従来の50倍の速度!高速照合技術を開発
  • ディープラーニングや人工知能との融合も
  • 防犯カメラと組み合わせ「もう逃がさない」
被疑者の顔と逃走経路を瞬時に特定 ビッグデータを高速照合する技術

マンションのエントランスやコンビニエンスストア、あるいは繁華街など、日常生活の中で防犯カメラを見かけることが珍しくなくなった昨今。これらが犯罪防止のために一役買っているのは言わずもがなで、テクノロジーの発展は我々の生活に間違いなく安心感を与えてくれているはずだ。

 

しかし、画像や映像の収集が進めば、蓄積されるデータの大容量化がひとつのネックになるのもまた事実。データが膨大になるほど、それを処理するシステムにも進化が求められる。何千人、何万人分というデータを取り込むことができても、それをスピーディーかつ正確に分析する技術が確立されなければ、宝の持ち腐れとなってしまう。

 

そこで注目を集めているのが、東芝が発表した、大規模なメディアデータを「高速照合」する処理技術だ。さまざまな分野でビッグデータの利活用が推進される中、従来の約50倍という高速処理を実現。顔画像データであれば、1000万人分のデータから特定の人物をわずか0.008秒で抽出することができる。おまけに、顔認識精度は実に98%以上という高精度なのだ。

本技術を活用し、被疑者を追跡・関係者の行方まで芋づる式につきとめる様子(1分20秒)
この動画は2016年5月26日に公開されたものです。

例えばある事件の捜査に本技術を適用するとする。ターゲットである被疑者が特定されたら、周辺の監視映像から類似する顔画像を瞬時にサーチ。この際、古い時間帯のものは赤、新しいものは緑で色分けされるなど、ターゲットの移動経路と予想される現在地に至るまで、おおよその動きまでが同時に把握できる。

 

さらにターゲットと一緒に行動する人物の移動経路から、たとえば共犯者と思われる人物が別地点から合流してきたなどということまで、瞬時に視覚化できるため、捜査員の初動判断につなげることも可能。駅や空港など、膨大な人数が行き交うスポットでも、犯罪者が人混みに紛れることを許さない。

ディープラーニング(深層学習)やAI(人工知能)との融合が何をもたらすか

東芝が想定している本技術の応用は、犯罪者の特定と追跡による犯罪捜査の効率化だけではない。国際的には、国民生体ID照合などを高速化することで、国際犯罪者の水際検知を可能にする。さらに本技術の応用は防犯の分野にとどまらず、あらゆるジャンルにおいて”高精度な予測”を実現する。たとえば金融工学では、大災害や世界的な金融危機が懸念される際に、株価がどのような動きを見せるか瞬時に予測・分析でき、致命的なマーケット損失を回避できるようになるだろう。あるいは、ビジネスの現場では、売り上げデータの分析も大きな需要があるはずだ。この技術を使えば、熟練した分析者の手を介さずとも、自動で分析結果が得られるようになる。

東芝 高速照合技術

大量の映像データから人物などを照合する(映像データベース構築と検索など)

あらゆるデータに対応可能な”汎用分析器”としてこの技術の活用が進めば、人々の生活や経済も目覚ましいアップデートを遂げるに違いない。実際、東芝ではディープラーニングやAIの応用によって、さらなる活用拡大をイメージしている。

 

「現在、ディープラーニングの手法を内部に組み込む方法を検討しており、うまく運べば精度と速度がさらに劇的に向上する可能性があります。たとえば街中のセンサ情報を収集分析するインテリジェントサービスの実現に、ディープラーニングと本技術が大きく貢献できると考えています」(IoTテクノロジーセンター 知識・メディア処理技術開発部 浜田伸一郎氏)

東芝 IoTテクノロジーセンター 知識・メディア処理技術開発部 浜田伸一郎氏
本技術を開発した浜田伸一郎氏

IoT時代の伸展に伴い、今後、この高速照合データ処理技術の適用領域は、飛躍的に拡大していく。ビッグデータ時代の生活になくてはならない技術となっていくはずだ。

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