落差2メートルでOK! マイクロ化で広がる水力発電の可能性

2016/08/31 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 水力発電はマイクロ化!
  • 空調設備の循環水で発電できる
  • 電気の地産地消がますます現実的に
落差2メートルでOK! マイクロ化で広がる水力発電の可能性

地球環境への配慮から、各地で導入が進む再生可能エネルギー。太陽光発電や風力発電、バイオマス発電など、その手法は多岐にわたっているが、水力発電が今あらためて注目を集めている。

 

水力発電のメリットはCO2の排出量が極めて少なく、エネルギー変換効率が高い点。しかしその一方、河川やダムなどを利用した大規模施設がこれまでの主流であり普及へのハードルとなる。

 

環境エネルギー政策研究所がまとめた『自然エネルギー白書2015』によれば、世界で最も導入が進んでいる再生可能エネルギーは水力発電であり、その総量は実に10.6億kWにも達するという。日本では2014年度の時点で、自然エネルギー全発電量のうち水力による発電は8%であり、自然エネルギーの中では導入が進んでいる。

 

しかし、水力発電の導入には、水車・発電機など発電設備のコストよりも、取水設備や導水管路など土木付帯設備や据付工事に多大なコストを要することがネックとなってきた。そこで東芝は、水車と発電機の一体化などの策を講じ、設置場所を選ばず、据付工事の容易な超小型水車・発電機ユニットを開発した。
それが「Hydro-eKIDS」で、わずか2メートルの落差があればその水を発電に活用できることが特長だ

Hydro-eKIDSは落差2mで発電可能

超小型化によってこれまでにない導入事例が

「Hydro-eKIDS」の歴史は古く、初号機はインドネシアのロンボク島に2001年に納入されたもので、当初は海外の未電化地域を主要ターゲットとした発電機器だった。

 

ところがその後、京都議定書の採択や震災に伴う電力不安など、思いがけない国内ニーズの高まりにより、マイクロ水力発電装置は一気に活躍の場を広げることになる。農業用水や工業用水、河川維持放流などこれまでにも発電に利用されてきた用途に加え、工場排水や水道排水など、一定の水量を伴う低落差スポットにも適用されるようになったことは、この分野に新たな可能性をもたらす画期的な出来事であったといえる。

 

また、ユニットの小型化は、思わぬ用途への適用も可能にした。東京都世田谷区・田園調布学園では校内の空調設備の循環水を用いた例で、既存の配管に装置を取り付け、循環水を利用して電気を起こしている。校舎屋上に設けた熱交換器と校舎地下のタンクの水を循環ポンプで循環し、冷水(冬は温水)を作る。この循環ポンプは深夜電力を利用して稼働しているが、冷(温)水作成時に屋上の熱交換器から地下タンクまで落下する「落差」を利用して発電するシステム。ここで作られた電力はロビーの照明用電源として利用されている。

田園調布学園で使用されている発電機

こうしたわずかな水力を発電に活用する取り組みは「Hydro-eKIDS」ならではのものであり、自然エネルギーを教育の場で有意義に取り上げ、次代を担う若き世代に、環境に対する確かな問題意識を与えることに一役買っている。さらに、発電した電力も使うことができ、まさしく一石二鳥だ。

 

また、小水力発電に適した場所には、落差と流量の変化幅が大きいところもあるが、東芝は広範囲に回転速度を変えることができる可変速発電システムも用意しており、いっそうの用途拡大が期待できる。

電力の”地産地消”を目指して

身の回りの水力を利用した電気が地域住民の生活に活用され、生産活動に貢献する社会。小規模に作った電気をすぐに使う、その先に見据えられるのは地域に根ざしたエネルギーの”地産地消”だ。

 

水力発電所が設置できるような場所では、送電線など設備が整っていない場所も多く、送電設備を新たに建設すると費用対効果が得られず、建設を断念するケースもある。そのような場合、送電線の代わりに水素を使った電力供給方法も検討中だ。

 

東芝は、環境省が公募した「平成27年度地域連携・低炭素水素技術実証事業」に、水素を製造し貯蔵・運搬・利用する小水力発電を活用した実証プロジェクトを提案し、採択された。北海道釧路市白糠町と連携して2015年度~2019年度にわたり実証実験を行っていく予定である。

 

使いたい形で使いたい発電エネルギーを必要な分提供する。使う人それぞれのニーズにあわせラインナップが拡充されることで、さらなる快適・安心な社会が近づく。

関連サイト

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自然エネルギー白書2015 | ISEP 環境エネルギー政策研究所

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