次世代の科学リーダーが集結! 日米高校生の未来アカデミー

2016/09/07 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • 体験型の中長期的な科学技術系人材の育成プログラム
  • 東日本大震災の「トモダチ作戦」にルーツを持つ
  • 「災害に強いスマートな社会の構築」をテーマに日米の高校生が参加
次世代の科学リーダーが集結! 日米高校生の未来アカデミー

カラフルなパーツを手に、背の高い工作キットを熱心に組み立てていくティーンエージャーたち。英語で議論を交わしながら、組み立てる手は休めない。

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英語で議論を交わしながら、工作キットを組み立てる日米の高校生たち

実はこれ、ボールを運ぶ小型エレベーターを組み立てて、完成度を競うプログラムのワンシーン。「TOMODACHI東芝科学技術リーダーシップアカデミー」カリキュラムの一部である。7月31日から8日間にわたって開催されたこのアカデミーでは、日米から8名ずつ参加した高校生たちが「災害に強いスマートな社会の構築」をテーマに体験型の文化・科学交流を行った。

 

アメリカ人の講師がジェスチャーをまじえ、時にはスマホから音楽を流したりしながら進めるカジュアルなプログラム。自由に意見を募り、フランクな会話に笑みもこぼれる。しかし、まなざしは真剣そのものだ。ロジカルに議論したり、イマジネーションを膨らませたり-日米の高校生たちにとっては、知的でエキサイティングな1週間になったはずだ。

TOMODACHI東芝科学技術リーダーシップアカデミー 日米の高校生が小型エレベーターを組み立てている様子
TOMODACHI東芝科学技術リーダーシップアカデミー 日米の高校生が小型エレベーターを組み立てている様子

2011年の日米フレンドシップが「TOMODACHIアカデミー」の原点

「TOMODACHI」「日本とアメリカが手を携えて行うプロジェクト」――これらのキーワードが想起するのは、2011年の東日本大震災だ。そう、災害救助・救援を目的にアメリカ米軍が展開した、あのオペレーション。本アカデミーは、かの「トモダチ作戦」にルーツを持つ。

 

運営に携わる東芝の芝地陽太氏に聞いた。

 

「2011年のトモダチ作戦から、日米の善意ある交流が生まれました。その交流をさらに続けていく受け皿として、米日カウンシル-ジャパンと日本のアメリカ大使館が進めてきた官民パートナーシップが『TOMODACHIイニシアチブ』です。日本のさまざまな企業が協力し、教育・文化交流・リーダーシップといったコンセプトでプログラムを運営してきました。」

 

東芝もその一翼を担う。技術力を持ち味とする東芝らしさを生かし2014年から『TOMODACHI東芝科学技術リーダーシップアカデミー』プログラムを続けている。

 

「このプログラムは、アメリカで推進されている科学教育STEM(科学、技術、工学、数学)に則り、科学的思考を用いて地球規模の複雑な問題を解決に導く、日米の若きリーダー育成を目指すものです。参加者たちは、Engineering Design Processと呼ばれる科学的思考法を、エレベーター作りという体験型アクティビティなどを通じて学びます。そしてその締めくくりとして、『災害に強いスマートな社会の構築』をテーマにプレゼンを行います」

4つの班に分かれて、現代の都市が抱える問題について整理

4つの班に分かれて、現代の都市が抱える問題について整理

最終日には、プログラムの集大成となるプレゼンテーションを行った

最終日には、プログラムの集大成となるプレゼンテーションを行った

「TOMODACHIアカデミー」参加者は、このプログラムを通して知的な興奮を、そして異文化交流の醍醐味を体感している。

 

「エンジニアリングに関する内容かと思っていたのですが、プログラムに参加してみると、リーダーシップやコミュニケーションに関する内容が多くありました。日本人の生徒から色々なことを教えてもらったり、アメリカについて教えたりするうち、コミュニケーションもエンジニアリングの大切な一部なのだと気づきました」(参加者 Renhao Wuさん)

 

「チームとして物事に取り組むことの大切さや、チームの一人ひとりの違いや得意・不得意を考慮したうえで自分の役割を見出し、作業することの大切さを学びました。将来はどのような仕事でも、国際的に視野を広げて取り組んでいきたい」(参加者 柴田朋彦さん)

TOMODACHI東芝科学技術リーダーシップアカデミー 参加者
TOMODACHI東芝科学技術リーダーシップアカデミー 参加者

「主催する東芝は、テクノロジーを学ぶ学生が減っていることに危機感を持っています。そこで、私たちは科学や数学を得意とする米日の高校生が刺激を与えあい、架け橋となるようなプログラムを考えました。

 

高校生たちはすごく聡明ですが、中には元気すぎたり、おとなしすぎたりする子もいますね(笑)。だけど、チームを組んでワークを重ねると、そんな子たちもメンバーの言うことに耳を貸し、積極的に発言していくようになるのです。これはすごく面白いコミュニティのかたち。文化交流だけではなく、新しいテクノロジーエンジニアリングの芽を感じます」(プログラムの講師 Helene Nameth先生)

TOMODACHI 東芝科学技術リーダーシップ・アカデミー 参加者・講師の声(1分21秒)
この動画は2016年8月31日に公開されたものです。

次世代に求められる創造的な人材の育成に向けて

人工知能(AI)の発達に伴い、モノづくりに求められる人材のあり方は変わりつつある。アメリカをはじめとする各国が科学技術教育に重きを置くのは、自ら考え、創造性を持って課題を解決できるイノベーティブな人材を求めているからだ。理系離れが指摘される日本でこそ、科学技術教育を奨励し、モノづくりに取り組める環境づくりは欠かせない。

 

エレベーターコンテストなどの実践プログラムからも分かるように、知識やスキルの詰め込みは本アカデミーが目指すところではない。自ら問題を特定して策を考え、課題解決能力を育てるためのプログラム。それは、中長期的な科学技術系人材の育成のベースを築くことにつながるのだ。

TOMODACHI東芝科学技術リーダーシップアカデミー プログラム中の様子
TOMODACHI東芝科学技術リーダーシップアカデミー プログラム中の様子

TOMODACHIアカデミーで日米の高校生が学びを共有する中には、オープンな発想力、グローバルなコミュニケーション力、そしてテクノロジーエンジニアリング力の萌芽があった。

関連サイト

※ 関連サイトには、(株)東芝以外の企業・団体が運営するウェブサイトへのリンクが含まれています。

TOMODACHI 東芝科学技術リーダーシップ・アカデミー | TOMODACHI

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