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IoTで変わる!未来エレベーター 柔軟な発想がビジネスのヒントに


IoTで変わる!未来エレベーター 柔軟な発想がビジネスのヒントに

この記事の要点は…
上下移動だけの箱にとどまらない進化

エレベーターの新しいサービス・使われ方の提案

IoTで建築やエレベーターの概念も変わる

2006年――今から10年前を振り返ってみると、それはまだスマートフォンやSNSが私たちの日常に広がっていく前のこと。当時からしたら、「歩きスマホ」「SNS疲れ」といった概念はまったく理解できなかっただろう。では、翻って10年先にはどんな光景が私たちの前に広がっているだろうか? まだ見ぬ10年後の日常に想像力を働かせる試みの一つが、東芝エレベータ株式会社が主催した「未来エレベーターコンテスト」だ。

2016年に行われた第10回では、「IoTが変える! IoTで変わる! 10年後の建築とエレベーター」をテーマに、2026年のエレベーターのありようを広く募った。身の回りのあらゆるものをインターネットにつなげる「IoT(Internet of Things)」が浸透していく中、暮らしやビジネスはどう変容しているのか。若者世代が未来のエレベーターを見通した先、そのアプローチにはビジネス企画創発のさまざまなヒントがあった。

京都の歴史と観光の架け橋となる和のモビリティが高く評価

最優秀賞:ひすとりっぷ ~あなたと歴史をつなぐモビリティ~
村松佑紀さんら8名(和歌山大学大学院・和歌山大学)

ひすとりっぷ ~あなたと歴史をつなぐモビリティ~

5名の審査員が最優秀賞に推したのは、京都の街を巡る観光型エレベーター「ひすとりっぷ」。乗り込むユニットは歴史的な意匠の手まりをモチーフにしており、上下に移動する箱型エレベーターのイメージを覆すルックスに目を引かれる。

球体に仕上げたのは京都で移動する際、街並みをしっかりと見渡せるため。京都を初めて訪れる人にも魅力的な観光体験をもたらすことが最大の特徴で、歩いて観光するだけでは気づかない史跡、名所をIoTで感知し、往時の風景、人物、建築などをARで表示してくれる観光サポート機能

京都の町中に位置情報を持つRFIDタグやfree WiFi機能のついた街灯や石碑、自動販売機などが点在し、「ひすとりっぷ」が近づくと位置情報がCloudに送られる

京都の町中に位置情報を持つRFIDタグやfree WiFi機能のついた街灯や石碑、自動販売機などが点在し、「ひすとりっぷ」が近づくと位置情報がCloudに送られる。観光地の混雑状況から把握した最適な観光ルートや、史跡のAR解説を「ひすとりっぷ」に送る。

モビリティとしては、「目的地に自律的に進む」エレベーターの特性と、自動車の「自由に好きなところに行ける」機能がスマートにドッキング。隠れた歴史、観光名所をガイドなしで教えてくれるだけではなく、スムーズに自律移動することで人気観光地ならではのストレスを軽減してくれそうだ。

京都駅にはユニットの大本の拠点となるセントラルステーションを設置

京都駅にはユニットの大本の拠点となるセントラルステーションを設置。ユニットはCloudと通信しながら自身の充電が少なくなると、各地に設置されているステーションへ帰還し充電をする。

「8人で作りこんだだけあり、エネルギーがこめられた作品になっていました。特に私が評価したのは、京都駅に設置を想定したエレベーターユニット専用のステーションです。セントラルステーションでの手まりが縦に並んだようなデザインは京都らしさを感じさせつつ、エレベーターならではの縦の空間づくりも意識されていました」(審査員・筑波大学システム情報系社会工学域教授 谷口守氏)

和歌山大学・大学院のメンバーは、人気観光地の世界ランキング1位から6位に転落した京都をいかにして復権させるかという問題意識から本作品を着想した。
世界的な観光都市・京都の課題は「大勢の観光客による交通渋滞、駐車場不足の解消」だ。

「京都の観光をスムーズに」というソリューション的な発想を持ちよって、未来の観光エレベーターを作りこんだ作品といえるだろう。

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