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1980年代にスマート工場の発想が! 産業用コントローラで時代を先取り


1980年代にスマート工場の発想が! 産業用コントローラで時代を先取り

この記事の要点は…

これからの産業の発展を支える産業用コントローラって何?

産業用コントローラがIoTの源流!

産業用コントローラに携わるからこそ予見できるIoTの課題とは?

今日のIoTやスマート工場に通じる概念が1980年代にはすでに存在していたと聞けば、多くの人が驚くのではないだろうか。

身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながるIoT。工場内の機器や設備をネットワークで接続、集積したデータを分析し、高度な自動化を実現するスマート工場。これらは2000年頃からのインターネットの普及で、大きく注目を浴びることになった概念だ。

だが、今から約30年前、これらの概念を先取りしていたのが「産業用コントローラ」。テクノロジーの発展とともに進化を遂げてきた、これからの産業発展を根底で支える重要なコンポーネントである。

1980年代にIoTに通じる概念が存在していた!

「産業用コントローラの役割を端的に表現すれば、『工場を自動化させるための装置』です」

そう解説するのは、東芝インフラシステムズ株式会社の岡庭文彦氏だ。

東芝インフラシステムズ株式会社 産業システム統括部 岡庭文彦氏

東芝インフラシステムズ株式会社 産業システム統括部 岡庭文彦氏

「たとえば、工場でかつて人間が行っていた溶接や組み立てといった工程は、現在はロボットによって一部自動化されています。そのロボットの動きを制御しているのが産業用コントローラです」(岡庭氏)

IoTやスマート工場に通じる概念が1980年代から存在していたとはどういうことなのだろうか。

「産業用コントローラの歴史は古く、開発のスタートは1970年代にまでさかのぼります。私が入社した1989年には『CIE統合(※)』という概念が提唱され始めていました。これは産業用コントローラとコンピュータの統合により、コントローラから収集されたデータをコンピュータに接続して分析を行わせようとするものです」(岡庭氏)

※Computer(コンピュータ)、Instrumentation(計装制御)、Electric Control(電気制御)。計装制御と電気制御は産業用コントローラの種類のうちの二つ。

CIE統合を目指して1989年に製造された産業用コントローラCIEMAC

CIE統合を目指して1989年に製造された産業用コントローラCIEMAC

IoTの本質は、すべてのものをインターネットにつなげて、様々なデータを収集、コンピュータに接続し、その情報を分析して現場にフィードバックすることにある。インターネットを使用しない点を除けばCIE統合の目的とほぼ同じだ。

「産業界の大目標は人を介在させない工場の高度な自動化といっても過言ではないでしょう。CIE統合や機器をネットワークで繋げることもその手段の一つ。今のスマート工場の目指す姿に通じます。それが当時、産業用コントローラに携わっていた私たちの『夢』。しかし、ネットワークの高速化やコンピュータの汎用化でデータが収集しやすくなり、実現可能な『目標』となりました。時代がようやく追いついてきたと感じています」(岡庭氏)

しかし、それらがもたらしたのは嬉しいことばかりではなかった。2009年から2010年にかけて、ある事件が産業用コントローラ界に大きな衝撃を与えた。それは、イランの核燃料施設におけるウラン濃縮用遠心分離機の破壊である。

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