東芝がソリューション提案する アフリカのエネルギー

2019/10/16 Toshiba Clip編集部

この記事の要点は...

  • ケニアの著名ジャーナリストが聞く、東芝のソリューション提案
  • アフリカに最適な小型地熱発電設備Geoportable™とは
  • クリーンエネルギーのソリューションをワンストップで提供
東芝がソリューション提案する アフリカのエネルギー

人口規模や構成の変化、経済成長を追い風に、アフリカは今よりさらに明るい未来へと向かっている。しかし、その潜在力が開花するまでの道のりはまだ遠く「アフリカの世紀」実現は、持続的な経済成長と社会の発展に不可欠なインフラ構築にかかっている。このインフラ構築こそ、東芝が日本の産業が発展する中で140年以上にわたり経験と実績を重ねてきた分野である。

 

Toshiba Clipでは、東芝がこの経験をアフリカでどう生かし、何を目指しているのか、シリーズで紹介する。

 

第一弾となる今回は、ケニアの著名なジャーナリストであるラバン・クリフ・オンセリオ氏が、ケニアの首都ナイロビを訪問中の東芝エネルギーシステムズ海外事業戦略担当理事、藤田豊明氏(以下、藤田)に話を聞いた。

Laban Cliff Onserio and Fujita

ラバン・クリフ・オンセリオ氏:ようこそケニアへ。

 

藤田:ありがとうございます。ここに来られて嬉しく思います。

 

今回は、ケニアの電力会社に対して、エネルギー分野におけるソリューションを提案するためにいらっしゃったと伺っています。

 

藤田:そうです。私たちはケニアで、発電・送電などの分野で実績を積み重ねてきました。ケニア電力公社(KenGen)のオルカリア地熱発電所向けには、4号地熱発電所に2セット、1号地熱発電所に同じく2セット(計4セット 280メガワット)の蒸気タービンと発電機を供給しています。これらは2014年から2015年にかけて営業運転を開始しました。また、先進的な配電用変圧器の供給により送電効率の面でも貢献できました。

 

また、当社とケニアの間の結びつきは、それだけにとどまりません。過去にはKenGenの小規模な水力発電プロジェクトにも携わっています。2006年に運転を開始した発電容量62メガワットのソンドゥ・ミリウ発電所です。しかし、私たちがケニアに最も貢献できるのは地熱発電の開発だと考えています。

オルカリア4号地熱発電所

オルカリア4号地熱発電所

将来のコラボレーションの可能性をどう見ていますか?

 

藤田:当社は「Geoportable™(ジオポータブル)」という小型地熱発電設備を開発しています。これは据え付け工期が短いため、短期間で発電を開始できるというメリットがあります。さらに、限られたスペースや、掘削が終わった井戸の上に設置することが可能なので、地熱資源の有効活用にも役立ちます。豊富な再生可能エネルギー資源の活用に注力する東アフリカ諸国にとって、理想的なソリューションだと考えています。

 

東アフリカというお話が出ましたが、東アフリカ共同体(タンザニア・ケニア・ウガンダ・ルワンダ・ブルンジが加盟する地域共同体)ではインフラの共有が議論されています。東アフリカの構想の中に、東芝はどのように貢献していくのでしょうか?

 

藤田:サハラ砂漠以南地域全体でいろいろな開発が進んでいますが、中でも、東アフリカにおけるジブチからマラウィまで続く大地溝帯では、クリーンで安定した豊富な地熱資源を使った発電に力を入れています。KenGenは、この地域の地熱発電のリーダーであり、この取り組みは他の国々にとっての開発モデルになっています。

 

また、東芝はエチオピア、ジブチ、ウガンダ、タンザニア、マラウィと地熱発電ビジネスの協業に関する覚書を交わしており、これに基づいて日本政府の「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)」の支援を得て各国の若者を日本で受け入れ、人材育成をサポートしています。そして、彼らが母国にノウハウを持ち帰り、地熱発電開発の強力な推進力になることを期待しています。

対談の様子

この地域社会に貢献し、東アフリカへの技術移転を支援されているのですね。

 

藤田:それが東芝流のビジネスです。私たちは東アフリカでのビジネスを促進するために2019年5月にケニア支店を開設しましたが、私たちの望みは機器を販売することだけにはとどまりません。ABEイニシアティブを支援するという形で、東アフリカ諸国と日本を結ぶ架け橋になりたいと思っているのです。

ケニヤでの様子

ケニア政府の重要課題は、食料安全保障、手頃な価格の住宅の確保、製造業の強化、すべての人々のための安価な医療の実現です。この点について、東芝はエネルギーの専門性を生かしてどんな役割を担うのでしょうか?

 

藤田:間違いなく、エネルギーは重要課題の解決に――とりわけ製造業の強化に欠かせない存在です。私たちは、ケニアの豊富な再生可能エネルギー源を利用し、機器を供給することで、製造業の基盤を支えます。そういった意味で官民が協力する機会を追求しています。

 

世界的に気候変動をめぐる懸念が拡大していますが、クリーンエネルギーも課題の1つです。この分野ではどのような方向に進んでいますか?

 

藤田:私たちは、地熱、水力、さらに水素エネルギーなどのクリーンな再生可能エネルギーに注力しています。また、当社には、独自技術によって配電ロスを減らし、大切なエネルギーをできるだけ多く消費者に届ける効率的な電力供給システムもあります。東芝は、クリーンエネルギーのソリューションをワンストップで提供できるのです。

藤田氏

今やあなたは東アフリカのエネルギー部門のキープレーヤーですが、今後5年間をどう見ていて、何を達成したいとお考えですか?

 

藤田:今後数年間で、東アフリカ各地で地熱エネルギーを発展させるとともに、東アフリカ全域で知識や技術の共有を図っていきたいと思っています。

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