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顔認識AIで変わる、テレビの未来


顔認識AIで変わる、テレビの未来

この記事の要点は…

身近なテレビ報道の裏側に、顔認識AIを導入

本人適合率99.74%の精度が変える、テレビ番組づくり

日テレと東芝の共創が照らす、AI技術を活用した未来

誰もがスマートフォンを持ち、いつでもインターネットにつながっている時代となっても、情報の中心にテレビがあることは変わらない。それは、テレビが早く、正確な情報を報道し続けていることへの信頼の証しだ。

そんなテレビ報道の舞台裏で、東芝が提供する人工知能(Artificial Intelligence: AI)の技術が生かされている。AI技術を通じて既存のテレビのあり方を超えようとする、日本テレビ放送網株式会社(日テレ)と東芝の共創に迫る。

テレビ報道の裏側を支えるAI技術

報道機関としてテレビ局が得てきた信頼は、テレビ放送開始以来65年以上にわたって積み上げてきた、正確な情報提供を追求する真摯な態度の表れだ。こうした正確な報道は、華やかなテレビ画面には映らない場所で、多くのテレビ局スタッフの大きな労力、地道な努力の上に成り立っている。

日テレ 技術統括局で、テレビ放送や番組制作の技術の研究開発、導入を担当する加藤大樹氏は、AIが変えるテレビの将来についてこう語る。

「AI技術を活用することで、私たちは、報道の正確性、それを支える番組制作現場の働き方、さらに番組づくりのあり方を進化させられると考えています」

日本テレビ放送網株式会社 技術統括局 技術戦略部 主任 加藤 大樹氏

日本テレビ放送網株式会社 技術統括局 技術戦略部 主任 加藤 大樹氏

加藤氏は、2019年7月の参議院選挙特別番組の舞台裏で、東芝との共同研究により開発された顔認識AI「カオメタ™」の試験導入を行った。

「選挙特番では、大勢の候補者を生放送でご紹介しますが、突然入ってくる中継映像に映っている方が誰なのか瞬時に判断して、視聴者に正確に伝えなければなりません」(加藤氏)

選挙特番など報道番組の被写体確認作業では、大勢の人手を使って、あらかじめ用意した書類やインターネット上の情報などと映像を目視で比べ、誰が映っているのか判別していた。これは、誤報による社会的な影響を考えると、非常に緊張する作業である。カオメタ™を導入することで、あらかじめ登録された候補者の顔が映ると、横に名前が表示される。複数の顔を認識した際には、それぞれの氏名が登録時の写真とともに表示されるのだ。

カオメタ™のシステム導入イメージ

カオメタ™のシステム導入イメージ

参議院選挙特番での実証実験における認識精度は、本人適合率99.74%*だった。人間が目視で行った際の精度は97%程度と言われているため、人の能力を超える非常に高い本人適合率だったことがうかがえる。カオメタ™は、髪型の変化、加齢による見た目の変化等に関係なく、大量の顔をリアルタイムに認識したという。

* 認識結果を一定間隔でサンプリングし、評価した結果

「実は、0.26%というわずかな誤認識は、映像の切り替え時に発生するトラッキングによるものでした。これは、異なるカメラ映像へと切り替わった際に、認識する顔を見失ってしまうために起こるもので、それを除けば、今回は100%と言える精度だったわけです。カオメタ™で、正確性と効率性という、二律背反する要求を同時に達成することができました」(加藤氏)

編集済み放送映像素材の、オンエア前の最終確認の様子

編集済み放送映像素材の、オンエア前の最終確認の様子

カオメタ™を活用することで、編集スタッフは時間的にも精神的にも随分と楽になったという。また、確認作業のスピードアップにより、タイミングを逃すことなく用意したVTRをオンエアできた結果、お蔵入りになるVTRが減った。そして、オンエアした量がその前の参議院選挙特番に比べて2倍に増え、多くの情報を視聴者に提供できた。

こうして、参議院選挙特番での実証実験は、大きな成果を上げることになった。また、番組制作の正確性と効率性の二律背反を乗り越えるだけでなく、カオメタ™導入によって浮いた人手を人にしかできない業務に割り当てることで、テレビ番組のクリエイティビティが上がることが期待されている。

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