ASEANが変わる TYCAが育む次世代リーダー達

2015/10/15 Toshiba Clip編集部

ASEANが変わる TYCAが育む次世代リーダー達

東南アジア10ヵ国から成り、過去10年間に高い経済成長を見せてきたASEANだが、World Energy Outlook 2013 Special Reportによると、今後20年でエネルギー需要が80%増大することでCO2排出量が2倍に急増するとしている。

 

加えてThe Asia Development Bankによる調べでも、11億人の人が農村部から都市部へと移動することで、急速な都市化が進むことが懸念されており、ASEAN諸国は新たな変革期に差し掛かっている。

ASEANの現状

ASEAN域内の総人口は約6億人にまでのぼり、5億人の人口を抱えるEUを超えた。社会的・経済的に不安定な要素は依然として残っているものの、世界有数の新興経済地域として経済成長を続けており、日本と比較しても非常に高い成長率を維持している。今後ともASEAN地域の持つ将来性・重要性が衰えることはないとみられるが、さまざまな問題が表出し、変革期に差し掛かった今、世界の「開かれた成長センター」となる潜在力が試されることとなる。

A Growing Market(GDP)

 

ASEAN諸国は、より強固な経済共同体を作り上げるため、2015年末にASEAN経済共同体(AEC:ASEAN Economic Community)を発足させる予定で、すでにブループリントと呼ばれる工程表が発表されている。

 

AECブループリントでは、「単一市場と生産基地」「競争力ある経済地域」「公平な経済発展」「グローバル経済への統合」の4テーマからなり、その趣旨は「ヒト・モノ・カネの動きが自由化する」ということになる。

 

域内では物品、サービス、投資分野の自由化が先行して始まっている。特に物品については、1992年にASEAN自由貿易地域(AFTA)が創設され、段階的な関税引き下げを実施してきたが、2008年にこの協定を見直し、より包括的なASEAN物品貿易協定(ATIGA)も署名されている。

 

ATIGAには、AFTAには盛り込まれていなかった貿易円滑化や税関、任意規格・強制規格及び適合性評価措置などが盛り込まれており、より強い経済体制が整いつつある。

AECブループリント(工程表)

AECがASEAN各国にもたらす影響

AEC発足はASEAN主要国へ多大な影響を及ぼすとみられるが、中でも陸続きのタイ、マレーシア、シンガポールが恩恵を享受することになりそうだ。特にタイは政治的な混乱が発生しているもののその影響は限定的で製造業の優位性は変わらないため、カンボジア、ラオス、ミャンマーと一体化した製造業のサプライチェーンが構築されることは大きなメリットとなる。

 

その他、世界トップクラスのビジネス環境が整うシンガポールには金融センターとしての役割が期待されるほか、地政学的にもASEANの中心であるため、統括会社としての需要も拡大するだろう。

 

それぞれの国が強みを補完しあうことで、競争力の向上や周辺大国への輸出拡大も見込まれ、域内はさらに活性化しそうだ。

主要国の経済への影響

 

日本とASEAN諸国との関係強化へ

日本においてもASEAN諸国との関係の強化は非常に重要な課題となる。東芝では、各国の未来を担う若者たちが交流することができる国際交流プログラムToshiba Youth Club Asia(TYCA)を実施した。各国の若い世代が交流することで、お互いの文化を理解し尊重し合える関係の構築を目指す。特にASEAN諸国のリーダーとなる人材に日本に関する関心・意欲を深めてもらい、持続的な交流の可能性を模索する。

 

春に行われた第一回プログラムには、ベトナム、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、フィリピンの6か国から合わせて12名、日本からは4名の、計16名の高校生が参加し、活発な意見交換が行われた。

Toshiba Youth Club Asia(TYCA)_A

学生たちは、今回のプログラムの頭文字をとったグループT、Y、C、Aの4つのグループに分かれ、“What Kind of Future Cooperation among Asian Countries is Possible?(アジアの国の中で、どのような協力関係を築くことが可能か)”をテーマにディスカッションを行った。

 

グループTでは、「お互いの文化・宗教・価値観を認め合おう」をテーマに、お互いの文化や宗教・価値観の理解を深め統合アジアとしてメッセージを発信できる関係の構築を模索した。

 

またグループCでは、「先進国の環境汚染、失敗から学ぼう」をテーマに、先進国やこれまで日本で経験してきた環境問題に対する知見をASEANで共有することを目指すための議論が行われたほか、グループY、Aではそれぞれ別のテーマで教育問題が取り上げられた。

 

プログラムに参加した学生は、異なる文化で生きる同世代の仲間との触れあいの中で、非常に多くのことを学んだ。タイ出身のPimburabha Thamawuitさん(16)は「本イベントを通じて視野が広がった。日本人の生き方を体験することができ、タイのコミュニケーションと生活について他の参加者と意見交換ができてうれしかった」と他国の文化を理解することができたことに笑顔を見せた。

 

ミャンマーのHnin Thida Newさん(17)は「TYCAのようなプログラムを通じて、知識を深めリーダーシップを身につけることができた。教育は強力な武器になり得るし、未来への階段の大切な一段目になる」と教育の重要性を認識した学生も多かった。

 

また日本から参加した学生にとっても、アジア諸国との関係の重要性を再認識するきっかけとなった。高校一年生の長田さん(15)は「アジアは将来、世界をリードする可能性に満ちた地域。日本とアジアが担う役割が今後も進化し続けることを意識し、良い関係性を構築していきたい」と未来への関係構築に前向きだ。

 

また「今日私たちが取り組まなければならない問題は、一国のみでは解決しきれない。世界全体で協力する必要がある。そのためにはお互いを理解することは欠かせない第一歩となる」という小林さん(17)の言葉は、最終的にはアジアだけでなく、世界全体として人類が協力していく必要があることを改めて示してくれた。

Toshiba Youth Club Asia(TYCA)_B

若者の文化交流が活発になれば、各国の関係性はよりよいものになっていくだろう。また日本などの先進国が積極的に技術や情報をシェアすることで、アジア諸国はもちろん、先進国自身の利益にもつながる。高度な教育の場を設けることが、世界全体の利益に寄与することはもはや疑いのない事実だ。

 

「このプログラムで学んだことは、物事の根本的な考え方と、課題解決スキル。この経験を是非母国へ持ち帰りたい」ラオスから来たVilakoun Boudphachanhさん(15)は、熱のこもった口調でそう語った。彼らのような若者が自国で果たす役割は大きい。TYCAのような国際プログラムから次世代のリーダーが生まれることを期待したい。

Toshiba Youth Club Asia(TYCA)_C

 

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